しがない感想置き場

特撮番組とかアニメなどの感想を投稿します。

鳥人戦隊ジェットマン 第13話・第14話

 第13話「愛の迷路

 

▼天堂竜「俺はリエのことが・・・」

誕生日パーティでは呑気に「まだまだ青春真っ盛りだよ」と軽口を叩きながらも、リエのことが忘れられず、香の想いを拒むしかない竜。

死に別れた恋人を愛し続ける男の純真さというよりは、リエを失った過去を受け入れられない男の無力がそこにある。

凱が放った「俺たちは戦士である前に人間だ!男と女だ!」という台詞は、過去にこだわり、前に進むことを恐れる心を、地球の為に己を犠牲にする戦士の使命に従事することでなだめる天堂竜という人間の弱さを浮き彫りにしており、本来ヒーローにあるまじきエゴイズムとして響く凱の主張が、図らずとも竜の暗部を突き刺しているというのが面白い所。

 

▼男・結城凱

「俺たちは戦士である前に人間だ」と、人間らしさを強調する凱。

自分の人生や本音を蔑ろにしてまで戦士であることに拘るのかという凱の主張は、竜に憧れ、恋をし、戦士として成長を遂げた香のひたむきさを見ないようにする竜への怒りとして発されることで、エゴイズムを乗り越え、一つの正義として昇華される。

 

▼痛い男・結城凱

「俺を見てくれ!俺を見ろ!お前に惚れている男が、ここにいる!!」→強制キス

香に対し事案スレスレのアタックをけしかける凱ですが、いつか俺に惚れるようになるといいつつ、こういうことをしちゃう凱のやすっぽさもまた魅力。

なんだかんだで凱は弱い人なので、かっこよさよりも痛さの方が先に来るところ。見事香から平手打ち喰らってるし。

 

浮気者

前回、香の戦士としての強さを目の当たりにした雷太は、そのまま香に惚れた様子。さっちゃん・・・

アコはひたすら驚愕の事態の連続にリアクション。視聴者の立場ですなあ。

 

▼トラン「ヘンなヤツだよなロボットの癖に音楽を愛するなんて

と言われたグレイは、指一本で弾いていたピアノをやめて、鍵盤を叩いて立ち去ってしまいました。

ロボットではない存在が嗜好するモノに興味を示すグレイは、トランの台詞に対する反応からロボットであることに何かしらのコンプレックスのようなものを抱えている様子。

 

▼マリア「私の思い出となれ」

カメラジゲンの能力で、香を写真の中に閉じ込めたマリアが発した台詞。

恋人を失った過去に囚われ、未来を見据えられない男に対し、かつての恋人の面影を持った女が突き付ける台詞なので、中々皮肉が効いています。

 

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第14話「愛の必殺砲」

 

▼情けない男・結城凱

色々戦隊ヒーローらしからぬ逸話を持つ人ですが、敵幹部に土下座をする戦隊ヒーローってのも結城凱位じゃないかろうか?ライブマンも終盤ビアスにペコペコしてたけど、あれは操られていただけだし。

かっこつけながらも香を救えなかった無力を悔やみ、愛する者の為に屈辱を受け入れる凱の姿からは、彼なりの信念や優しさが感じられる所ですが、一方ですぐに冷静さを失い、諦めてしまう所は、やはりまだまだ弱さが見られます。

マリアの口車で竜への劣等感を募らせて襲いかかり、香を助けるという大役も奪われ、尚も変わらぬ彼女の心にショックを受けてやけくそになってノーヘルでバイクを飛ばし、案の定ズッこけて悔し泣きをするという、絵に描いたようなダサさ。美味しいなあ。

 

▼天堂竜/レッドホーク

過去に囚われる弱さを持った人間・天堂竜ですが、殆ど一人で必殺武器を完成させ、皆を救出するという美味しい所を全部持って行くなど、戦士・レッドホークとしては美味しいの一言。

戦士として完成されているがゆえに、香は竜に惚れるし、凱もまた竜への劣等感を募らせる。表向きは頼もしいヒーローでも、人間としてはどうなんだろう、という問いかけが感じられます。

 

▼有能な長官・・・

戦士の人間関係には見事にノータッチですが、次元獣の倒し方を考察し、指示を与える戦隊の司令官としての仕事はしっかりこなす長官。

隊員同士の結束を望む一方、私情なんか知らんと言わんばかりの蚊帳の外っぷりは、意図的ではあるんでしょうけど、ちと冷血に見える部分。

司令官としては完璧超人と言ってもいいスペックと言動ですが、こと人間としての隊員の心境まではノータッチというのは、地球を守る為に我が身を犠牲にする強い戦士像が当たり前になった視聴者みたいなものなのか?

 

▼音楽

マリアが奏でる音楽に心を惹かれ、彼女を守る為に体を張るグレイ。

ラディゲから所有物扱いされても尚諦めないマリアが美しい音楽を奏で、自分もそれを真似てピアノを弾く。

ラディゲの支配を逃れ一個の生命として自立しようとするマリアの意地と音楽が、グレイの心に火をつけたという所でしょうか。

アンチ戦士の凱がサックスを奏で、竜とリエの思い出の中にピアノの演奏があるように、音楽というのは自己肯定の象徴かもしれません。