しがない感想置き場

特撮番組とかアニメなどの感想を投稿します。

仮面ライダーアギト 第10話

 ・Y・ナルシストの限界

 

前回タコ怪人をグレネード弾で葬り去った北條さんは、たかが怪人一体を倒しただけで高級レストランで祝勝パーティを挙げ、席上で「腕には絶対の自信がある」「次はアギトを捕獲する」と恥ずかしげもなく豪語。

誇大妄想的な発言と過剰な演出で自分を飾り立て悦に浸りまくる北條さんですが、倒したと思ったタコ怪人が再び姿を現し、前回致命傷を与えた武器に耐えきるという、その予想外のタフネスっぷりを前に、早々とG3の装甲を脱ぎ捨て、逃走すると言う驚愕のヘタレっぷりを披露。まがいなりにも逃げずに戦ってきた氷川に対する嫌味が、全て自分に突き刺さる格好となりました。

 

一連の描写を見るに、北條透と言う人は、か弱い市民を守る為、生身で怪人相手に挑む胆力自体は持ち合わせているので、ただの臆病者という訳ではない様ですが、それ故に彼自身が異常なほどに自分を愛してやまないという一つの根拠になっており、要するに、生身の警官として人智を超えた害獣にがむしゃらに挑む自分も、G3というハイテク装備を使いこなしてスタイリッシュに害獣を討伐する自分も、同じように「英雄」的でかっこいいと思っているということでしょう。(同じくあかつき号事件の「英雄」である氷川に何かと食って掛かるのも、そういう理由が関係している筈)

 

そういったナルシズムが、死の恐怖を押して怪物に挑んだり、はたまた上司を恐喝して自分の優秀性を表明する場を獲得するというある種の賭けを実行に移す根拠となり、そういうパワフルな働きぶりが、今日までの彼の実績を作ってきたというのは大いに想像できるところですが、反面、ナルシストであるが故に、自分の期待や予測と少しでも違うことが生じると、その欠落の部分を納得できず、途端に崩れてしまう脆さも持ち合わせているということでしょう。

 

単純に死の恐怖にかられて逃げるだけなら、身体能力を引き上げるG3システムを自ら放棄する意味が無い訳で、「一度勝利した敵がまた出てきて、予想外の戦力を誇っていた」という現実から、「ハイテク装備を授かりながら、怪人一匹倒せない大口叩きのヘタレ」と揶揄されると思い込み、その恐怖に囚われたことで、G3装着員としての期待と責務自体から逃げようとしたというのが本当の所かと思います。

 

ナルシスト故に輝き、ナルシスト故に陰る男。今後の活躍に期待大です。

 

・Y・お気楽

イキリ野郎の失敗等どこ吹く風、下手をしたら前科がついて社会的に終わる可能性大という状況下で、マイペースを保って河野と氷川を翻弄する翔一君。

まあ、彼が何もしていないのは事実ですし、氷川達もそれっぽい情報は聞き出しつつも、翔一が犯人という確たる根拠を持ち合わせているわけでもないので、いつもの楽観主義を発動して達観出来る状況ではあるのですが、ここまで来るとある種の才能のように見えてくる所。

そんなふんわか主人公ですが、真魚ちゃんの声援に手を振り、タコ怪人が暴れる現場に急行する様は、しっかりヒーローのそれで、頼りなくともやることはしっかりやっているという風に、強くてヤバイ化け物を倒すヒーローとしてのかっこよさはしっかり見せているのは、個人的には結構好み。

 

・Y・翔一バイク自動運転説

翔一逮捕をきっかけに、真魚の超能力を知る氷川さん。

教授から散々否定された超能力の存在が、その同居人によって証明されるというのは、中々皮肉な点です。

真魚の方は父親の件があるので、一刻も早く翔一の無罪を証明したいという思いがあったのでしょう。教授の知り合いの弁護士に任せても、翔一が完全に無罪かは証明できるか怪しいですしね。

 

・Y・泥臭い人造人間

怪人を操り、涼の手を治癒したり、超パワーを見せつけてきた人造人間ですが、元東京国初代皇帝秘書モドキは、針金で首を絞めるという生々しい手法で殺した様子。

態々拾った針金でやる辺り、元々手でやる予定だったのかな。その方針転換が何を意味するのかは今の所不明ですが、いきなり泥臭さが付与されてちょっとびっくり。そのギャップも含めて不気味といえば不気味なのですが。