しがない感想置き場

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仮面ライダーアギト 第25話

G3-X編③(終)

 

・Y・主人公は猿
G3-Xとなってエイアンノウンと戦い、勝利した翔一は、「簡単ですよあんなの。猿でも出来ます。」と素直すぎる感想を吐露し、氷川さんの心をこれでもかと抉る畜生っぷり。
まあ、結局はG3-Xの戦闘パターンに合わせて戦えということで、装着者に求められるのは、言われたことだけをする受け身の姿勢だけなので、猿でもというよりも、猿じゃないと扱えない仕様なんですけどね。謙遜めいた発言が、彼の実態を的確に表明する、皮肉の効いた台詞でした。
高村教授の「無我の境地」というのも、言ってしまえば「思考停止」そのもので、命をかけた戦いの場で自分の判断ではなく機械に全てを委ねるなんてことは出来そうで出来ないでしょうし、そういう場で主体的に考えることを放棄し、戦う為の道具としてG3-Xの性能に依存出来る翔一のお気楽っぷりは、一面では「才能」として驚愕させる一方で、厄介ごとから自分を遠ざけようとする逃避癖が染みついていることの表れにも見て取れるので、人間としては大いに問題ありという印象です。
馬鹿真面目な氷川さんや、自分大好きマンの北條さんがG3-Xを扱えないのは、小沢さんの才能を認めつつも、彼らなりに人としての主体性=我を抱いているからで、人間としては翔一よりも完成していると思わせる所です(ここそれぞれで問題はあるとして)。

てな具合に、G3-X編は、翔一の性格の正負の両面を視聴者に訴える点で、効果的に働いたのではないでしょうか。

 

・Y・ケフレン様のアドバイス
G3-Xを作り出したかつての弟子の才能に敬意を表すると共に、使用する人間のことを慮らないナルシズムを批判する高村教授。
批判だけではなく、G3-Xを猿用から人間用に変えるチップを提供する一方で、チップの活用は開発者本人の判断にゆだねると言う奥ゆかしさを発揮。井上敏樹の作品に出てくる大人と言うと、才能はあるけど独りよがりという、小沢さんタイプというイメージがどうしてもあるだけに、まともな大人が出てくるとちょっと驚きます(笑)
小沢さんの方は、自分の理想と才能に拘るあまり、現実と向き合いきれなかったことに気が付き、ようやく自分の弱さを認め、チップの使用に踏み切りました。

現実と向き合い、自分の弱さを認めたからこそ、氷川君に対する「私を信じて」という言葉も重く聞こえ、氷川G3-Xの「初勝利」も劇的に決まりました。

 

・Y・ハイセンス水落
ギルスに襲撃されて水落したアギト。翔一は汚い川の水に浸りながら、過去の記憶を取り戻します。
その際、切った紐を一本に繋げる翔一の手品の見事再現した北條さんが「繋がった」と漏らすシーンが挿入され、一連の手品シーンが伏線になっていたのは、センスが良いの一言。
本筋も面白ければ、細かい部分での見せ方も優れていたりと、改めて当時の視聴率の高さが頷ける内容だと思います。面白い作品は生で見たいもんね!