・Y・ポっと出の癖に異常に存在感のある
お偉いさんと北條さんに乗っ取られて、アンノウン擁護厨とかしたG3ユニット、そしてアギト化に怯え、自ら死を望む可奈を前に「人間がアギトを憎む未来」を予感して苦悩する翔一。
木野さんが死ぬ回までは「アギトの力を持っていても、自分が自分でいられるか」という、当人の内面の問題がメインでしたが、アギトの力に溺れずに生きていくことができたとしても、他人がそれを承認してくれるのかという、別の視点からの問いかけが生じ、翔一のスタンスに揺さぶりをかけてきました。
美杉家を出て、新しい自分の場所を獲得することに自覚的な翔一としては、出会った人に裏切られ、「居場所を失っていく」という恐怖もあるわけで、アギトになった自分を否定した可奈の「普通の人間が抱くアギトへの嫌悪感」を生で見せられ、これまで夢を抱いて頑張ってきた可奈の姿を知っているからこそ、その未来を案じ彼女の自殺願望に逡巡してしまうのは無理からぬ話です。可奈の死が姉の雪菜にダブって見えたのも、死を選んだ姉の行動を肯定しかけていたからでしょう。
・Y・知っているか!?世界で一番高いビルはry
苦悩する翔一が可奈の手を放しかけた時、すんでの所で可奈の手を掴み「離すな!お前の手は、人を守る為の手だ!」と一喝する沢木さんがカッコイイ。
可奈の自殺を防ぎ、雪菜の事に触れつつ「人は自分で自分を救わねばならない」と厳しくある姿が印象的ですが、ここに来て下手に甘い言葉をかけるのではなく、どこか突き放した物言いで接するのは素直に好印象です。元々、「この人のせいで・・」ってことも沢山あっただけにね。
翔一もまた、可奈にダブった姉のイメージを前に「姉さんは間違っていたんだ。アギトになったからって、自分を追い込んで、自殺するなんて。」と、彼女の選択を責めていましたが(最も、彼女の心情を慮って躊躇はしてましたが)、雪菜も雪菜で結局「真魚パパを殺した現実も含めて、自分から逃げただけ」であり、彼女の死の選択を後押しした沢木さんは、そんな彼女を甘やかしてしまったにすぎないということで、翔一の前では「ただの被害者」と擁護していた沢木さんも、翔一の木野さんのあれこれを経て、やはり考え方が変わったような印象。
正直、この辺りはもう少し沢木さん自身のリアクションも見せて欲しい所でしたが、一応見届け役的な役割の人なので、物語の展開の下支えと、演じる小川さんの存在感によって、成立している場面。
そんな沢木さんとは違い、翔一は「一緒に料理を作りましょう」と寄り添い、尚も苦悩する可奈に襲い掛かるライオン怪人の前に敢然と立ちはだかり、彼女の目の前で「変身」する。
「可奈さん、生きてください。俺も生きます。」
「俺の為に、アギトの為に、人間の為に!」
その人がその人であり続けられるか、そしてその人がその人らしく生き続けられるか。
自分の為にも、同じ境遇の誰かの為にも、自らが強く生きてその証を立てようとする翔一の決意は、アギトになっても自分のままでいて、その上で自分の弱さと戦い、アギトを受け入れた翔一だからこその台詞であり、自分を救う為に全力で戦うからこそ、見知らぬ誰かを救う為にも戦えるというのが、改めて「アギト」が描こうとしたヒーロー像というか、893脚本のヒーロー像なのかなあと。
長くなりそうなので残りは最終回感想で。