しがない感想置き場

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地球戦隊ファイブマン 第39話

第39話「愛を下さい」

 

V 913の日だし、多少はね?

水野美紀さん主演で有名な、893節炸裂回。

ヘタレのビリオンの手で暴漢から救われた過去を持ち、彼を正義の剣士として慕う宇宙人ソーラ。そんなソーラを欺き、「平和の為に怪物となってファイブマンを倒せ」と強要するビリオンは、「自分を犠牲にするのが戦士の仕事だ」と断言する翌年のレッドの姿を思わせます。

しかし、愛に溺れるソーラはダメ男の欺瞞に気が付かず、彼をデートに誘い、一方はノリノリだけど、他方は作戦の一環としての演技でしかないのが悲しい所で、血の通わない正義感を振りかざすビリオンが、悲惨な体験と一途な恋慕に由来する善意の奮闘に身を粉にするソーラの心を「利用」する構図は、やはり翌年の戦隊に通じるものを感じます。

最終的にビリオンの真意に気づくも、それでも愛を捨てきれずビリオンの剣で自害したソーラを、学兄ちゃんが彼の真似をして看取るという(学兄ちゃんとソーラの絡みが薄いので、キメ損ねた感が強いけど)悲劇で幕を下ろしますが、翌年はこんなテンションのストーリーを、殆ど一年中展開していたんだからなあ。

九死に一生を得て、それ故に恩人の信念()と地球の平和に感化されたソーラが、その身を「犠牲」にする前に、愛する男とのひと時を慈しむ姿を見てると、理不尽と隣り合わせの人生故に、等身大の人間としての人生の尊さを炙り出していくというのはやっぱり井上敏樹だと思う所で、「後悔しないように全力で楽しみたい」と願い、その為に戦い抜ける人が、実は誰かを救う英雄として頑張れるという井上敏樹のヒーロー観が好きなのは、描かれる人生がどんな形であっても「楽しそうに」感じられるからで、じゃあその人生が「楽しそうに」思えるのは、「守られるべき人生」的な鋳型が最初からそこにあって、ヒーローが守る対象以上でも以下でもない扱いなのではなく、一人一人それぞれの価値観に基づく営みや望みが、物語の中で反映され、それ自体に価値が生じる(故に、それを守るヒーローの力強さも際立つ)からなんだろうかとつらつら。