しがない感想置き場

特撮番組とかアニメなどの感想を投稿します。

暴太郎戦隊ドンブラザーズ ドン6話

ドン6話「キジみっかてんか」

 

今更ですが、ニチアサの番組で「面白い!」「毎週楽しみ!」って思えたのは何年ぶりだろうなあ。犬も食わない拷問用具のオンパレードで、ゴルフと駅伝がすっかり安眠の友となって久しかったのが、関連商品にお金をつぎ込み、放送は必ずリアルタイムで視聴することを義務ではなく権利として主体的に行使させてもらっているこの変わりよう。スタッフ情報開示時点で、ここまでハマるとは思ってなかったです。

当然、ゴルフと駅伝は怨敵です。中継するなら「リバイス」の時間だけ潰すか、裏の枠でも借りて勝手に垂れ流しやがってください。「サン〇ーモーニング」とか誰も見ないんだし。

 

謎のポイントパワーで中途半端に成功し、イキり散らかす雉野。これまでの良心的な性質は消え失せ、失敗した店員に嫌味を言ったり、タロウの宅配業を馬鹿にしたりと、居丈高を通り越してクズそのものな言動がこれでもかと飛び出しました。

そんな雉野のイキりに対し、「弱くなった」と評するタロウ。完璧タロウや、紛いなりにも漫画賞をとったはるか、博識高等遊民の真一や指名手配犯の犬塚と違って、「嫌になる程平凡」故に仕事でも評価されず、これといった狂気的な挙動は見せてこなかった雉野は、確かに「凡人」なのですが、凡人であることを認め、変わろうとした彼だからこそ、同じ凡人であるおにぎり屋の店員の心に火をつけ、また彼らの心に寄り添うことで、感謝の念を引き出すことに成功しており、店員に陰口を叩かれたタロウとしては、店員の心を変えた雉野の姿は強さに映るのは当然で、ちょっとの成功で調子に乗り、目の前のことに真摯に取り込むことを忘れ他人を見下す雉野に、かつてのような強さがない=弱いと判断するのも道理でしょう。

 

雉野の方は、脱臼治療と掃除で常人離れした能力を発揮したタロウの優秀さ、「嘘の意味が分からない」という彼のストイックな考え方に影響される形で自分を変えようとしたわけですが、彼の中では「何もない自分を変える為の努力を放棄すること」が問題ではなく、「何もないままでいること」が問題だったようで、だからこそ凡人時代は同じ凡人を「仲間」として励ますけど、成功者の階段を上り始めた途端に、自分より下の存在として馬鹿にするようになったということでしょう。雉野の善意の根っこが分かったと同時に、同じ根っこから来る嫌な部分もありありと描かれた訳ですが、努力して積み重ねていった果ての成果ではないので、妻の病という想定外の不幸にぶつかった途端、自分の力に根拠が無いことを自覚してどうしていいのか分からなくなるというのもセットで、ダメっぷりがこれでもかと露呈しました。

この間ちょっとタロウを馬鹿にしたかと思ったら、勝負する前から勝手に諦めてしまったりと、情けなさこの上無かったですからね。

清濁併せて雉野つよしという人間が描かれた訳ですが、こういう描写を「リバイス」には期待したいんだよなあ。もう遅いとは思うけどさ。

 

「嫌になる程平凡」で何も得意なことが無い雉野と、何でもできたからこそ得意なことが無い自分は似ていると、傍から見たらイヤミにしか聞こえないタロウの発言も印象的でしたが、「幸せと言うものが分からない」というタロウらしい台詞だったと思います。生まれついてのヒーローであるタロウはどうしたら幸せになるかというのは分かっているのでしょうが、反面自分なら何で幸せになるのかが分かっていないのでしょうね。誕生日は祝うべき。祝えば幸せになる。でも自分は祝ってもらったことが無い。だからきっと自分は不幸。という具合に、不幸であるという思い込みが積み重なっている。陰口を叩かれて悲しそうな顔をしていたのも、人が去ったのも、陰口を言ったら人は悲しむし、人が周りから去って活気が無くなるのは悲しいことだという、知識としての幸不幸で判断しているだけで、彼個人が傷つけられて悲しいとか、孤独で辛いという感情は実は無い。戦士として戦うことに主観を挟まず、戦士である理由を気にしないのもその為でしょう。

だからタロウにとって全ての物事は、人それぞれその時その時の状況で変わる幸せを叶える為の手段であり、仕事や物事に対して自分の好き嫌いや思い入れといった主観で判断するとは無いし、なまじ失敗や努力を経たことも無いから、そういう思い入れで何かを語ることも無い。宅配の仕事については、幸せを運ぶという一点で認めてはいるものの、結局それも幸せの手段として、他のものと同列に扱われる。

だから、雉野が凡人故に得意なことが「思いつかない」のと同じように、幸せを知りたいタロウとしては、何が自分を幸せにしてくれるのか(不幸にするのかも)分からないので、何でもできるけど得意なことはないという奇妙な発言が回答になってしまうのでしょうね。

 

その他、キチガイの癖に自分達を凡人と言い張る真一とはるか、タロウと同じく非人間的な一面を持つ脳人の変態人間観察、人を救いたいという使命感と人の為に自分をすり減らすストレスで板挟みになり、自分を追い詰めるであろう患者予備軍共を自分でいたぶってその上で看病すれば万事解決じゃね的マッチポンプサイコ欲求で動く動物鬼等、なんやかんやで見所があって楽しかったです。同じ30分弱でこうも違うかなあ。