しがない感想置き場

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仮面ライダーギーツ 第6話

あまりにもクルパーやらサイコやらダブスタやらが幅を利かすせいで、デザイアグランプリの参加要件は、「死ぬほど頭がイかれていること」説を唱えたくなってしまった今日この頃。侵略者討伐の為に有用な人材を消費するのはやんなきことだし、体力だけ有り余ってるキチガイを抑止力にして侵略者と相殺させるってのは、人道上の是非はともかく、そこそこに合理的な着想だしね。参加者はウスラバカでも、グランプリ自体はそれなりに堅牢な思想の上で運営されているんでしょうなあ。

 

毎回のことなのでいい加減こっちが慣れるべきなんだろうけど、就活君の頭の壊れ具合は、最早視聴者に対する確固たる殺意すら感じさせる筋金入りっぷり。役者さんも芸能界に入って、折角仮面ライダーに出演できると思ったら、こんなイエティよりも意味不明な生命体を演じなきゃいけなくなって気の毒だとは思いますが、視聴者の安全の為にも、とっとと退場願いたいものです。

今回なんか、「相手を蹴落としてまで立ち回りたくない」とくっさい聖人アピールに勤しんでいましたが、誰かが犠牲になるであろう非情な戦いに、異議も唱えず、何の願望も覚悟も無く、ただボケーっと参加して、他人が脱落してもそれをボケーっと見送ってスルーするだけの知性主体性零人間が、いけしゃあしゃあと歯の浮くようなHEIWA主義を素面でかます光景は、思慮こそ足りないけど人間的には憎めない奴とか、穢れを知らない善意の人とかいう以前に、人格破綻者として嫌悪されるべき性質しか見出せません。

 

牛の人もやっぱり意味不明です。過去に助けてくれたギーツに何故か敵意剥き出しで、死んだ友達ガン無視で「他のライダーを倒す!」なんて願いを胸に戦っているようで、何がしたいのか分かりたくもないって感じのキャラ。その癖、その時々の運やら何やらにのっかって、場当たり的に行動してなんとか生き残っているようにしか見えず、キチガイならキチガイなりに強さを発揮して凄味を見せるものだと思うのですが、そういう発想がまるっと抜けてるのがこの作品のダメダメな所なんだろうなあ。

 

肝心の主人公である英寿に至っては、現状も絶賛空気中ですが、「他人を蹴落とす人間には負けない」「自分に打ち勝つことが重要」みたいなことを平気で宣っており、第2話で就活の善意()に付け込んで騙してバックルを奪ったことなんてどこ吹く風といった感じ。相手の気持ちを踏みにじってでも勝つ泥臭い奴なのか、崇高な信念の下気高く戦うタイプなのかも分からず、じゃあその両方の面を備えた人物なのかと聞かれたら、描写や掘り下げが足りな過ぎて、やっぱり人格破綻者にしか見えないのがいただけないです。

 

何も登場人物が常に「いい子」「賢い子」であるべきと言っているのではないし、頭のおかしなキャラが好き放題する筋書だって、巧く描けば一級のエンタメとして昇華されること請け負いな訳ですが、本作の場合、その場その場でそれっぽいことを話の都合で言ったりやったりするだけなので、「こいつはどういう奴なのか」という、ひととなりのイメージすら抱けずにいると言うのが本当の所で、結局シナリオ上の瑕疵で、まともな筈の人間がキチガイに貶められているようにしか見えんのだよなあ。

なんというか、「エグゼイド」からそうだったけど、高橋脚本は基本作中の人物のバックボーンを掘り下げたり、台詞や行動を積み重ねて登場人物の言動に意味付けをして、登場人物に奥行きを持たせていくという行為を疎かにして、その分「僕の考えたスーパーカッコイイミラクル設定とウルトライカス展開」を披露することだけに固執している印象なんだよなあ。出てくる奴らがそれっぽいことを並べ立てるだけで、そいつらなりの独自の意味合いが折角の台詞や場面に生じてこないから、本来なら瑞々しい筈のアイデアも、何の味もそっけもない凡庸な代物としてしなびて見えちゃうんだよな。