しがない感想置き場

特撮番組とかアニメなどの感想を投稿します。

暴太郎戦隊ドンブラザーズ ドン32話

ドン32話「けっとうソノ2」

ドン27話のコピペ回。プロの物書きが、その辺のネット民がするようなコピペ改変ネタで尺を埋めて満足なのかとか、積み重ねでソノイの特権になっていた宅配手伝いをソノニ・ソノザがやるネタが面白いのかとか、「海と空」の台詞回しはともかく、そのまんまウユニ演出を垂れ流すのは流石に寒くないかとか、サンドバッグとして画面に出しただけのガングロロボを買う変態がいるのかとか、あれこれと疑問は尽きませんが、繰り返しネタ故の良い意味でのバカバカしさや、それ故にちょっとした差異が鮮烈に映る目新しさに加えて、これまでの描写の積み重ねによって生じた意外性なども含まれており、文芸の奥深さを改めて教わった気分です。

 

態々宅配業を手伝ってくれる脳人。律儀と言うか、なんだかんだで真面目と言うか純粋と言うか。元々、欲と力に溺れ自分を制御できない人間を倒すことを使命としているだけで、ソノイと同じく、他人を無下に扱うってことはしないんだろうね。ソノイについては善良な部分が掘り下げられていましたが、ソノニ・ソノザにもそういう所があるんだなと教えるシーンだったと思います。

 

今回のMVPは、三度目の登場となった忍者おじさん。タロウに負けて以後、劣等感をごまかす為か、一度は忍者の道を捨てて魔法の道に鞍替えした彼ですが、更なる敗北で自分の弱さを思い知らされ、普通の生活に戻った(更生?)様ですが、夢は呪いと言わんばかりに、諦めていた忍者への想いが再び巻き起こり、轟轟鬼として再起を図るも、復活したソノイに簡単に倒されるという最期は、そこそこに哀愁があって良かったと思います。コピペ元の回で再登場した彼だからこそ、コピペ回で死ぬ(?)のは筋が通っていますし、紛いなりにも何度もヒトツ鬼になった素体を、復活したソノイがその強さを見せつける過程で倒すことで、脳人が言う「元を絶たなければ意味がない」という思想に説得力を与えつつ、危ないおっさんを一太刀で屠った(?)ソノイの活躍のグレードの大きさも伝わり、物語の積み重ねも効いて、一粒で二度三度美味しい扱いだったと思います。こんなに化けるなんておじさん思わなかったよ。

さりげなくおじさんの家族関係も描かれ、同時に彼なりに、コミカルでキッチーながらも忍者に対する捨てきれない思いなんかも描かれており、そういった個人の繋がりや情もそれとなく描くからこそ、キチガイではあるけどその死(?)がそれなりに重く思えてくるというのもセンスが良く、ヒトツ鬼になろうとも人を守ろうとするタロウと、ヒトツ鬼は邪悪と判断して斬るソノイ、共に基本は善良で崇高で、それ故に通じ合うものがあったけど、怪物と化した人間に対するスタンスはまるで違うということで、絶対に交わらない空と海の関係なんだなと活写してくるのが巧いです。

 

ムラサメと因縁があり、タロウにも並々ならぬ敵意めいたものを抱いている虎ジロウが、コピペ元回でソノイの遺体を運んだムラサメと対を成すように、敗れたタロウを抱えて去るシーンも良い感じで、職人の仕事を堪能させてもらいました。変態なのでガングロロボ買います。