しがない感想置き場

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仮面ライダーギーツ 第7話~第9話

これまで退場したライダーに対してはこれといった反応をろくすっぽ見せてこなかった動画配信者が、「世界が危ないのに自分の願いで戦ってて良いのかなー」と、命のやりとりが行われる中で貫かれる自らのエゴイズムに対していきなり悩みだすという、血も涙も無い人物描写に、視聴者の涙は枯れ果て血は固まる第7話。

そもそも、ライダーが全滅したら世界も食い荒らされたままになるという設定を鑑みるに、世界の平和と己の欲望の間で苦悩するという描写自体大して意味を成さない訳で、ガラにもないことをやってキャラの多面性を表現してみるというよりは、いつものアホ垂れアピールと変わらなかったのが哀しいですね。

「家族を失う痛みを知るからこそ同じ思いをする人が増えてほしくない」という、就活やめたマン(だって最近面接受けてないもんね)の平和願望の根っこを言い当てる主人公だけど、子供を救いたい面接官を看取ったと思ったら「人の命よりも大切な願いなんてあるの?」とか聞いちゃう子だぜ?そりゃねーでしょ。作り手がやめ就君のキャラの薄さに流石に冷や汗かきだして、両親不在の要素を膨らまれて無理やりにでもキャラを補強しようと頑張ってる感じだもんな。第1話で怪人にやられた蕎麦屋の大将が生存しているのを喜ぶシーンだって、大将とその家族の交流を傍から見て何かしら思うとか色々やりようはあったでしょうに。そういうのをすっぽかして台詞だけで「こういう奴です!」アピールするのは呆れるの一言なんだよな。世界平和が掛かっている中で、ブーストバックルを断固自分が使うべしと頑なになるのも良く分からなければ、そんな経緯からバックルを使った挙句ヘマをやったのを棚に上げ、やり方はともかく敵を倒すアイテムを手に入れようとしたギーツに対して「そんなにゲームが楽しいか!世界がピンチになってるこんな時に!」とファビョりだす姿も悪印象満点。凄いなあ。(褒めてない。)

 

自信満々の牛君は主人公君のバックル欲しさに敵ガン無視で襲い掛かった挙句普通に負けて、主人公を信じられない筈のやめ就君はお姉ちゃんを救うための大事な戦いで主人公の力を当てにしたりと、「傲慢」というよりは気が狂っているだけの輩共のどったんばったんが、相変わらずの地獄絵図な第8話

姉を救いたい一心から、自己犠牲による他人助けを他のライダー達に押し付けてくるやめ就を咎める主人公の発言は、なるほど一理あるのですが、一方で犠牲を押し付けられる皆さんが掲げる願いというのが、話の流れから察するに「なんかムカつくからライダーを倒したい」とか「頭使わずに好き勝手したいから、そんな自分を許してくれる都合の良い御人形さんが欲しい」みたいな、クソとしか言いようがない代物ばかりなので、やっぱり世の為人の為に犠牲になるべきなんじゃないかなあと思ったりもします。意図的に共感同情不可能なしょうもない動機付けばかりセレクトすることで、個々人の願いの正邪を他者がジャッジするなんておかしいんじゃないのって問題提起も含んでいるんでしょうかね。たようせいのじだいだなあ。

怪我を理由に脱落して喜ぶやめ就君。さっき死に別れかけたお姉ちゃんの傍に居たいってのは人として当然とは思うけど、問題は未だ解決していないし姉ちゃんを守る戦力もないし、結局他のライダーに身の安全を委ねてるだけで何にも良いことないと思うんだけどな。主人公君が言いたかったのは「他人に求めるんじゃなくて自分でやれ」ってことだと思うんだけど、全く通じてなかったみたいですね。

 

第9話。なんの意外性もなく優勝した主人公ですが、これがまあ中々にヘボかったですね。「ラスボスは強いから俺に任せろ(意訳)」と言いながら他のライダーよりも後に現着してるし、卵についても最初こそ「大器晩成型だから」と余裕綽々だったのが、全然孵化しないもんだから「時間が無い」とか言って焦りだすし、周回ゲーマーとしての凄味がまるで感じられません。すげえアイテムが出たおかげで勝ちましたみたいな、工夫も糞もない逆転劇もばかばかしいし(牛たちを身を挺して守った度量への報償的位置づけかも知れないけど、卵に対する態度の変容っぷりを見るに、そこまでのものは感じられなかったし)、人となりや能力云々ではなく、「番組の主人公だから勝った」以外の理由が見い出せない終戦だったと思います。

今回の主人公補正マシマシとしか思えない卵育てゲームに限らず、缶蹴りだとか神経衰弱だとか一見変わったことをやろうとして、その突破劇が何一つライダーの戦いを盛り上げる要素になり得ていないのは凄い所で(褒めてないです)、あれもやりたいこれもやりたいと、無節操に要素を積み上げた結果、お決まりの様に消化不良を起こす体たらくは、なるほど武部P作品らしいなあと。