しがない感想置き場

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機動絶記ガンダムSEQUEL 第8話

第8話「FACT」

1話から7話?書いてないよ(^^)/

 

独自の価値観でデュランとの絆を温めていたカオリスですが、彼の記憶復元と死によってそれを断ち切られる羽目に。

生を受けて初めて見た光景が母親の焼死体で、その直後に巨大なMS(ガンダム)を目撃したことで、世の中への絶望と巨大な力への憧れがない交ぜになっている感があるカオリスですが、殺し屋家業も人間不信も、一重に気を抜いたらすぐにでも死んでしまいそうな世の中で、己の生の安全を確認する為の手段みたいな位置づけなのでしょう。

そんな彼女にとってのデュランは、「最強の殺し屋」であるが故に自分の生を実感する宿敵としてはこの上ない存在であり、それ故に心の何処かで彼が父親であることを誇っていたのかもしれません。それが記憶を取り戻したことで、現実に狂い、目を遠ざけるより他なかった自らの弱さを告白し、カオリスとの親子の絆を否定する発言をしたことで、カオリスとの絆が断ち切られたというのはちょっと哀しい筋書だったと思います。

それでもカオリスはデュランの弱さを受け入れ、今際の際を迎えた彼の為の嘘をついたりと、彼女なりの気遣いを見せます。この世を憎むからこそ、容赦なく人を焼き殺したり撃ち殺す一方で、同時にこの世で生きる者の不幸を理解し、苦しみから救うための殺人の意味も信じている。前回学者が言った「悲しむあなたを愛す」「正義」というリンドウの花言葉は、彼女のそういうあり方にかかっているのでしょう。

 

カオリスの孤独は伝わったのですが、デュランの退場劇自体は、あまり面白くなかったです。過去の凶行を思い出すのは未だ良いのですが、戦闘で頭を打っていきなり思い出し、聞かれもしないのに過去を告白してそのままカオリスを庇って退場というせわしなさは、読み手の感情の整理がつかないままあれこれ話だけ進んでしまった印象があります。こういうあっけなさは、カオリスのショックに同調させる為に狙った物なのでしょうが、長台詞を吐きながら敵と戦い、自嘲気味に自分の人生を総括する様は、キャラの退場劇としては押しつけが強く出てしまった感があります。「王家が強いネオスを集めていた」という情報も、伏線らしいものが無かったので、彼が辿ってきた本来の人生として厚みを出すにも、なまじっか説得力に欠けてしまったように思います。

嘘つきだから他人の嘘にも敏感で、無限の殺人の意味した「π」の字名を持ちながら、最後は殺しの相手を庇って自らを殺めるというオチも、作劇としては筋が通っていると思うのですが、一個のキャラクターの退場劇としては犠牲にしたものが多かったなと言う印象です。

 

デュランを待つマリーヌの場面は、それまでの会話の味も相まって悲壮感もそれなりだったと思います。彼女の好意が友愛か性愛かは分かりませんが、日常的に「冗談」を言い合える楽しい関係が崩壊してしまうのは哀しいものがありますね。

 

しかしこの作品のガンダムは相変わらず全く動きませんが、主要キャラの人生が狂ったり、バタバタ人が死んだりという地獄絵図が展開されているので、まるで呪いの人形みたいです。