しがない感想置き場

特撮番組とかアニメなどの感想を投稿します。

水星の魔女を観た⑤

第8話を観た。いつものことだけど、ツッコミどころが多すぎて脳がぶっ壊れるかと思った。

作画が良い代わりに話とキャラがスカスカなのは「0083」なんかもそうだけど、あっちがロボットアニメとしてメカバトルの迫力に特化してたのに対して、こっちはおにゃのこイケメンでhshsprprしてくださいって萌え豚向けアニメの脈で作ってるもんだから、このアニメが「ガンダム」であることすらすっかり忘れちまうもんな。

 

意識他界系が涎を垂らしてしゃぶりつきそうな専門用語の乱打で、いっぱしの経済ドラマっぽさを必死こいて取り繕っていた印象だったけど、肝心の内容はもう死ぬほど退屈。

「ちゃんとした事業計画が無いと出資者もお金出してくれないよ」なんて普通なら当たり前に聞こえるロン毛のアドバイスも、そもそも親父が出資したのを見て脊髄反射的に投資した連中が殆どなんだから、ミオリネ本人の事業の具体性や堅実性なんて今更話題にされてもこっちが困惑するって。頭空にして楽しめる萌えアニメがやりたいなら変に肩ひじ張らないで、宇宙時代の女子(男子)学生のえちえちライフドキュメントみたいな体でやった方がなんぼか好感が持てるってもんだよな。涎塗れでミオリネの脚にしゃぶりつくヲタ共は確かにキモいかもしれないけど(プラモ速完売したそうですね)、そういうアニメを作るのだって、一定の思慮深さと分別が必要なんだということをよく思い知らされます。

 

肝心の事業計画も、最初こそ「MSを作って兵器として売る」路線だったのが、いきなり「医療器具として売る」路線にシフトしておったまげ。いやいや、スレッタマザーの義手、ミオリネはなんだと思ってたの?サイコガンじゃないんやで。

会社の路線にともなって、「戦争」について色々議論が始まるんだけど、そもそもこの作品における「戦争」がどんなものかなんてよくわからないんだよな。何度も引き会いに出して申し訳ないけど、現状殺し屋がばきゅんばきゅんやってるだけの「SEQUEL」だって、「戦争とは何か」っていうのを主役の価値観も交えた言葉と実際のコロニー内で渦巻くエゴを一緒に描くことで、実際に開戦には至っていなくても、その作品なりに生々しさを想起させるように表現していたと思うんだけど、そういう話なんてまともにやらず、今の今までMSで決闘するだけの学生が、いきなり戦争や兵器売買の是非を喧々諤々しても画にならないんだよなあ。

 

別に一般論として、戦争に対する嫌悪の感情を表明するのは至極自然ではあるし、それ自体人間らしさの証拠とも思うけど、その切り口だとエアリアルを家族だと認識していたスレッタと、彼女の認識を自覚している筈のミオリネが、「兵器としてガンダムを売る」ことに対して、これといった抵抗を示していないのが地味に衝撃なんだよな。

ミオリネの自己中はある程度狙ったものとは言え、それにしたって前回スレッタの為にやるようになったとか言われていた彼女が、スレッタの「家族」を複製して兵器として売りまくるって発想に至るのもどうかと思うし、スレッタはスレッタで自分の「家族」の兄弟機とも言うべき存在が、そういう扱いを受けることに、最初こそ驚きつつも、終始「皆が納得する」とか「皆で一緒に」とか、他人の価値観に依頼するばかりで、自分の考えや思いで以て反対の意を表明しないというのが、血の通わない人物造形って感じで気持ち悪いんだよな。頭に水をかける陰湿ないじめには抵抗しないくせに、助けてくれたロン毛には反発するグエルもそうだけど、キャラのリアクションの一つ一つが歪で、感情移入不可能っす。

 

マザーの台詞回しもおかしいんだよな。「人はよく知らない者を怖がるのよ」とか言って、ただの義手を例に、精神崩壊事象が認知されたMSへの人々の嫌悪感を語るのは、おバカさんじゃなきゃ出来ない芸当だと思うんだよな。

ガンダムが恐れられているのはパイロットが廃人になるということが「知られているから」で、ただ闇雲に「なんとなくキモそうだから怖い」って理由で嫌ってるわけでも何でもないと思うんだがなあ。