しがない感想置き場

特撮番組とかアニメなどの感想を投稿します。

ロボット110番①

中々視聴の機会に恵まれなかった「ロボット110番」がYouTubeにて配信開始。

2年半近く続いた前番組の「ロボコン」と比べると、あまりにも弩マイナーな印象が拭えない打ち切り作品なのですが、果たしてその内容や如何に。

 

第1話 「太陽のガンちゃん」

なんとなく、「打ち切り」の理由が分かった気がする第1話。

ガンちゃんのキャラ自体は良いんだけど、哀しいかな、色んな要素がロボコンと比べるとどうにもパンチに欠けるなあって印象。お仕置きとして「パンチ」は打ってるけど、そういう意味じゃなくて

由利徹の町田巡査程と比べてしまうと、谷村昌彦扮する南田巡査はどうも華に乏しいし、有能を自負するケイ君も、自慢の追跡装置があんまり役に立っていないポンコツ気味で不出来な主役と対比されるエリート役としての存在感も中途半端だし、着ぐるみキャラも3体と少ない割にはしょぼっちさが否めない上にキャラクターの個性の発揮も今一つと、前作の良いとこ取りをしようとしてその再現度が低く、はたまた差別化を試みた結果、美点を削ぎ落すのみで独自の魅力として完成しなかったアレな2作目感がそこかしこに迸っています。

中村家の子供達の影の薄さも問題だよなあ。主役のガンちゃんを好いてこそいるけど、とりわけ強固な関係をアピールしているわけでもないんだよな。「ロボコン」だとマココやシシムのように、番組のメインターゲット層と近しい年恰好の子供が主役の親友的な立ち位置の子供達が主要人物として登場し、彼を励まし彼の助けを求める等して、「ダメな主役ロボットだけど、けして不要な存在ではない」という印象を形作るのに貢献してきた訳ですが、「110番」の場合はそういった補助役と呼べる人物の存在感に欠ける為、ガンちゃんの奮闘っぷりも、対象不在のどこか空疎なものに映ってしまうというのは、けして小さくはない失点かも。

極めつけは「バッテンパンチ」なるあのパワハラだよなあ。仕事で失敗した社員には上司の鉄拳制裁が待っているって、今の時代じゃなくても十分アウトなアイデアだよね。「ロボコン」でもロボコンの人間への振る舞い方がその回毎に「点数」として判定され、大抵が100点か0点かのどちらかでしたが、採点者のガンツが彼の熱意と功労を認めて褒める一方で、過程で生じた被害を重んじて減点するというように、ありのままのロボコンの姿を捉えた上で、極力客観性を保った評価をしようという意思が少なからず感じられたものですが、ガンちゃんの場合は一方的に赤字を働いたことのみを責められ、殴り飛ばされて終わりなので、一面だけを見て評価が下される不公平さが印象づいてどうも後味が悪い所。ロボコンのように失うものが無い状態で何かを得ようと頑張る様は前向きなものを感じるけど、ガンちゃんはへまをしたら殴られるという、あからさまに脅しの部分が強調されて、その活動もこちらが応援したくなるというよりも、息苦しさを感じてしまうようなものになっているというのはきついよなあ。大人目線でこれなら、子供目線なら結構恐怖を感じる所だと思うけど。0点とって叱られるのと、ぶん殴られるのとじゃ話が違う訳だしね。

主役が意図せず行ってしまった物の破壊等、減点だけじゃ埋め合わせが効かない失態にどう向き合うのかという視点から来る制裁措置なのかもしれませんが、内輪で懲らしめて完結してし、それも被害を被った人たちへの謝意ではなく「会社に赤字を与えた」ことへの制裁と言う自分本位の理由付けだからなあ。「ロボコン」みたいにストレートに「人間への奉仕の重要性」と「ターゲットの就学児にも分かりやすい点数式表現」というアピールポイントを丸々導入しなかったのはオリジナリティへの拘りとはいえ、子供に馴染みが薄い営利企業の手前勝手な都合の下、主人公が制裁されるというのは、イメージし辛い上にドライなものを感じて親しみにくいというか。それも味と言えば味ですが、美味いかどうかと問われるとなあ。

 

第2話「天使のような誘拐魔」

ゲストの子供に「主役の親友ポジション」を奪われる中村姉弟予告でもゲストを指して「僕ちんにもやっと友達が出来たんだ!」とか言う始末だし、立つ瀬がないですね。

それでも、子供との交友のおかげで主役の奮闘が映えるというのは大きくて、第1話と比べたら十二分に鑑賞に耐え得る内容だったと思います。中盤のすれ違いコントめいたやりとりも楽しかったですし。

ただ、バッテンパンチはどうにも慣れないなあ。前回と同じく功労の部分は明言されず、一方的に赤字のみを言上げされてボコられ、仕置き役のチーフのロビー風味の無機質なデザインも相まって冷血なブラック上司以上の印象が無いというね。ガンツどころかウルトラセブン」のユートムの方が人間味を感じるレベル。少なくともあっちは同族を攻撃したりしなかったからね。

 

第3話「散歩する美術作品」

パイロットでのバッテンパンチの描写の方向性に、スタッフも流石に危機感を覚えたのか、ガンちゃんが芸術家の為に働いた分が「利益」としてチーフの口(何処だよ)から言及される等、血も涙もない設定の中でなんとかして人の心を表現しようと言う工夫の跡が見られました。

お話は石像を巡って作者の夢野先生とガンちゃんが右往左往するだけで、夢野先生の信用問題が調査に躍り出たケイ君を身内のガンちゃんが説得すれば済む話としか思えず、それを守ろうと本物の石像を運んで奔走するガンちゃんの奮闘努力が忙しないだけに映ってしまったのは残念。

 

第4話「一円玉のバッテンパンチ」

前作でマココを演じた子役さんがゲストとして登場。ただでさえ影の薄い中村姉弟が、いよいよ霧消せんという勢い(;^_^A

第2話と同じく、ゲストの子供の為に頑張るガンちゃんの奮闘が光る王道回。ゲストの子供の孤独への焦点の当て方は第2話のと比べると若干弱い印象はありますが、第2話同様に子供を助けたことを全く考慮に入れずパンチをぶちこむチーフのお仕置きを受けて、パールちゃんが「ガンちゃんは皆の役に立っている」とフォローをすることで、ガンちゃんの頑張りが多少なりとも報われるまとめ方になっているのは、前回に続いて不備だらけの様式をなんとか成立させようというスタッフの心遣いを感じさせます。