しがない感想置き場

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王様戦隊キングオージャー 第1話

台詞や絵面等、滅茶苦茶頑張っているなと思いました。場面転換もそこそこにテンポが良く、「ドンブラザーズ」でなんとか延命したシリーズを、これから本格的に立て直すんだという、スタッフの意気込みを感じさせるだけの第1話になっていたんじゃないでしょうか。

 

一方で、人物描写についてはストレートにおもんなかったです。

そこそこに味のある特徴的な台詞回しが際立ち、前作のノリを意識してるのかなという推測が入る位は、表現上の“キレ”を大事にしようという試みが感じられて悪くは無い一方で、登場人物の思想や行動原理の掘り下げが出来ておらず、台詞や行動が上っ面だけの空疎な物として感じられてしまうというのは、結構手痛い所です。

 

顕著な例として主人公のギラ君は、「王様は悪者じゃない」と頑なに信じ、「王様の命令で強引に徴税を行う役人」を、「街の住民や子供達の危険も考慮に入れず」一方的に排除して満足げな顔をし、かと思えば王宮に乱入して敵の侵略を放置する王様相手に失望し反逆してみたりと、作り手が彼にクルクルパー手前の行動をさせたりあれこれ感情を大きく動かしてみたりするものの「何故ギラはそこまで王様を信じるのか」という根っこの部分を描かないので、ただ頭の悪いあんちゃんが大暴れしたり喚き散らしたりするだけのトホホな印象を抱いてしまいました。

 

会合よりもお化粧優先で動く身勝手っぷりを披露したかと思ったら、戦闘中に怪我人の治療をしようとするランや、何故かやたらとトップの座に拘るヤンマ等、けして少なくは無いキャラクター達の個性を1話の中で存分に出そうとあがくが故に、肝心の掘り下げに使う尺を失い、ドラマの迫力が大きく欠けてしまったという感じです。

 

前作「ドンブラザーズ」では、初回は最小限の登場人物で話を回し、彼らに関する情報も極最小限という風に、お話としてはあくまでも導入という割り切り具合でしたが、その物足りなさを個々の人物の面白言動で補佐したことで自然と物語に勢いが生まれたものですが、本作の場合はその逆で、膨大な情報を整理するので手一杯なシチメンドクサイ視聴体験だったなあという印象。

 

キングオージャーの操縦演出はまあまあ面白いんじゃないかと思います。虫の節足をイメージした感じかな。

ただ、やっぱりメカやロボはあんまし魅力が無いよなあ。敵も昆虫モチーフみたいだし、特撮でスケールのデカさを演出している割に、どうもチンケな感じが否めないと言うか。

玩具の方も10台合体なんて合体メカの数の多さを大々的に打ち出すものの、10台の内5台は、ギミックらしいギミックが無いほぼ単体のパーツでしかなく、合体というよりはただジョイントを設けてくっつけただけという、ダイラガーXVに通じる誇大表現っぷりが気になりますし。