いつまで続くか分からないけど、今作はお話の流れに沿って、劇中の台詞等も交えて書いてみたいと思います。
第1話「運命・ウェイクアップ!」
1986年
どこかの教会のどこかの葬式で、亡骸が起き上がり、怪物=スパイダーファンガイアへと変貌する。
参列者の女性を、ライフエナジーを奪って殺め、尚も人々に襲い掛かるファンガイアだが、ファンガイアハンター麻生ゆりに阻まれる。
「神は過ちを犯した。お前のようなファンガイアをこの世にあらしめた罪、私が正す!」
と、かっこよく宣言して戦うのですが、逃げられます。
喪服を着ていたことから、参列者の一人として潜伏していたようですが、それだけにゆっくり怪物に歩み寄っていく登場シーンで、「待ってました」というよりは「今まで何をしていたんだ」という疑問の方が強く、見せ場としては滑ってしまった印象。
その後、カフェ・マル・ダムールでアルバイトに勤しんでいたゆりは(ここでマスターの飼い犬にビビる犬嫌いの部分が描かれる)、ファンガイアハンターの上司である嶋から、新たなファンガイアの情報を授かる。
人間として社会に溶け込み、バブル景気の追い風に乗って成功した事業家としての地位を築き上げたファンガイアに夜襲をかけるゆりだが、ボディーガードを呼ばれてピンチに陥る。
通りすがりの男に抱き着き、ボディーガードの目をごまかしたゆりは、秘書のライフエナジーを吸収したファンガイアに追いつくも、突如乱入してきた男によってまたしても逃げられてしまう。
「さびしかったろう。一人にさせて、悪かった」
先ほどゆりが抱き着いた男、紅音也が、ゆりをデートに誘う為、わざわざやってきたのだ。
1986年編、つまり過去編はこんな感じで終わるのですが、とりあえずどのキャラクターも故意かどうかに関わらず、ファンガイアの凶行を許したり、逃がす要因を作っているようにしか見えず、敵として描かれるファンガイアのライフエナジー捕食シーンが、割と凄絶な雰囲気で描かれるだけに、印象はあまり良くない(;^_^A
2008年
体をビニールコートで包み、顔をマスクで眼鏡で覆いながら、魚の骨等、奇妙なものばかりを集める奇怪な青年紅渡。
収集の協力者(?)の女子高生野村静香に対しても、筆談で応答する彼は、当然の如く、近所から不審の目で見られ、「お化け太郎」として蔑まれていた。
自宅から異臭がするのを近所の人達から咎められるも、渡は全く応じず、静香が渡の「この世アレルギー」(この世界のすべてに免疫機能が過剰反応する病)を主張し、近所の人たちからの印象を更に悪くする形で、渡を追及から救うという、過保護ママとアレな息子というおかしな疑似親子的関係。
まあ、静香と渡のやりとりで、静香の母親の存在が仄めかされるのですが、娘が近所公認のヤバイ奴の家に出入りしているのをどう捉えているのか、そこがある意味一番怖いのですが。
そんな彼は、モデルの麻生恵の食べ残しの魚の骨を盗み、気の強い彼女はカフェ・マル・ダムールで渡を尋問にかける。
しびれを切らした恵は、渡の眼鏡とマスクをはぎ取るも、彼はこの世アレルギーを主張して、眼鏡とマスクの返還を求めるも、恵は面と向かって「気のせい」と否定し、相手にしない。
この世アレルギーを否定された渡は、同居するコウモリもどき、キバットバット三世に対してこの世アレルギーでなかったことから来るショックを告白する。
「問題は、実は僕がこの世アレルギーじゃないかもしれないってことなんだ・・・。」
「それならそれでいいじゃねえか。」
「そうかな・・・。こんな汚れた世界の空気を吸っても生きていけるということは、僕も汚れた人間だったということなんだ。そう思うと、なんかショックで・・・・。」
その後、渡が集めていた魚の骨が、バイオリン制作用のニスに混ぜる素材だったことが明かされ、それまでのバイオリン制作に纏わる失敗経験を静香に突き付けられて落ち込む渡の場面が挟まれ、紅渡の気弱な性格が強調されます。
そしてこの気弱さは、渡が「この世アレルギー」なる荒唐無稽の仮病を、小心者故に他者との接触を控える方便として用いていたことを伺わせます。
近所の人々の非難を受けながら、過保護ともいうべき静香の庇護に守られていたことで、嘘の病を真実として自分に言い聞かせる余地があったのですが、無遠慮な恵からマスクと眼鏡をはぎ取られ、無理やり深呼吸をさせられたことで、自分が嘘をついていたことを突き付けられることに。
「汚れた世の中に適応できる自分が汚れている」という悩みも、自身の情けなさを自認しているというよりは、嘘がばれても尚、自分を変える気になれないので、自分をとりまく周囲の環境に責任をおしつけているだけにすぎず、「自分が汚れているとしても、世の中だって同じように汚れているから仕方がない」という開き直り同然の態度と言ってもいいでしょう。
渡に現実を突きつけた恵は、生き延びてモデルに転職した元・事業家ファンガイアに襲われるも、ファンガイアハンターとしてのもう一つの顔を持っていた恵は、即座に反撃する。
人間とファンガイアの戦いのさ中、家に飾られた傑作バイオリン・ブラッディローズの音に誘われるように戦場へやってくる渡。キバットに噛まれた渡は、腰に出現したベルトにキバットを装着し、仮面ライダーキバへと変身する。
キバに変身した渡は、そのまま事業家ファンガイアを追い詰めて叩き伏せるも、恵に後ろから銃撃され、今にも弾丸が当たりそう!という平成ライダーあるある的な引きで終幕。
気弱な青年が、どう猛な怪物と戦おうとする二面性が、今のところ一致しないのですが、キバの力に総てを委ねてるのか、何か別の理由があるのか。それは今のところはっきりせず。
ドラマの部分で惹きつけられる要素はあったのですが、ヒーローものとして見るとち大分不安が残る初回です。