第11話「ローリングストーン・夢の扉」
1986年
尊敬していた母親をファンガイアに殺されたゆりの過去が明らかに。
敵討ちの為、イクサ装着を志願するゆりだが、イクサになったのは次狼というオチ。
次狼イクサのイクサナックルをなでる→突き出すのしぐさがすごくカッコイイ。
2008年
大村を失い「自分にしか作れないバイオリン」を作ろうにも、自信が持てずにいる渡は
ギタリストの襟立健吾に出会う。聞きなれないロックのサウンドに興味を抱く渡は、健吾からギターを借りて練習し、ついにはバンドを組むことに。
「お前とはええ友達になれそうやわ」
「友達・・・」
親(静香)の庇護から離れ、世の中の先輩(恵・名護)と関係性を紡ぎ、遂には対等な間柄(健吾)に至り、世の中における立ち位置を確立しつつある渡。
そんな時、名護が店に来店。師匠であたた大村に死なれたこともあってか、謝罪によってもう一人の師匠との関係性を修復しようとしている印象ですが、名護の方は謝罪するならキバを探せ的な返しで渡に迫る。
名護はキバを倒すことで「自分の正義=絶対正義」が完成すると豪語するも、恵はそんな彼の発言を「人の上に立ちたいだけ」と切り捨てる。
そして、現れた蜘蛛ファンガイアと戦うキバを目撃し、ファンガイアを追い出し、キバに攻撃をしかける名護。キバを水落させた名護は、「勝ったんだ!」と歓喜。
恵→名護の感情は、気持ち悪さと嫉妬の部分が相まってる様子ですが、父親であっても自分の中の正義の為なら容赦なく罪を突き付ける名護のあり方から「強くあらなければならない」という執着めいたものを感じてしまう(そうだと決めつけてしまいたいとも)のは分からなくもないし、実際人を襲うものとして認知されるファンガイアそっちのけでキバを倒そうとしていた辺り「正義を重視する生き方」というよりは、「正義ももキバ討伐も自分の強さの証明の為にある」というのがホントのところか。
丁度、自分の弱さや情けなさを世の中のせいにして言い訳していた渡が、それを乗り越えようとするのと似通う部分があったり。
第12話「初ライブ・黄金のスピード」
2008年
水落した渡は、名護にやられた怪我で腕の自由が利かなくなる。
楽器の演奏がままならないということで、ボーカル担当を提案されるが、渡は無理だと断るも、なりゆきでボーカルに。
一方の名護は、キバを倒したと思い込み調子に乗るが、健吾と渡が音楽をやっていることを知り、「そんなものはやめた方が良いな。それよりも世の中の為になにができるのかを考えなさい」と説教。
ムキになった健吾はギターをかき鳴らすが、それが名護の逆鱗に触れてしまい、健吾を殴り飛ばす。
苦手意識のあった恵に対して、渡が親近感を覚えたきっかけが「音楽」なら、慕っていた相手との隔たりを感じるきっかけもまた「音楽」であるという具合に、渡にとっての音楽が人と人を繋ぐきっかけとして意味づけられていると。
名護としては、音楽を嫌っているというよりも、音楽に惹かれるからそれに甘えて堕落する自分も許せないし、だから堕落しているように見える他者の上に立つことで、自分はそうならないと断じたいというところか。
その後、人間を襲っていた蜘蛛ファンガイアからキバの存命を聞かされた名護は、蜘蛛ファンガイアに恵をさらわせてキバをおびき出し、蜘蛛ファンガイアを追い出してキバとの再戦に乗り出す。
強さの証明の為に余裕を失う名護の弱さが見え隠れするのですが、戦いの末、キバはイクサを負かす。当然、キバに負けた名護はショックで絶叫する。
名護との戦いを終えた渡は、ボーカルとしてステージに立つ。最初こそおどおどとしていた渡だが、「歌うんだ」という心の声と共に、観客相手に持ち歌を披露。
前回今回と師匠との「別れ」を経験する渡でしたが、保護者→尊敬する先輩→友達という具合に、自分自身で紡いできた絆が、土壇場で生じた勇気の根拠として存在している様子で、バンドの構成に至る経緯自体は多分に無理矢理感を感じさせながらも、他のバンドのメンバーが静香(保護者)、恵(尊敬する先輩)、健吾(友達)という構成になっているのも、渡自身が積み上げてきた他者との関係性が、渡自身の糧となっているという意味合いが感じられます。
1986年
イクサを失ったゆりは、自暴自棄になり音也と遊び倒す。
人目をはばからず、無茶を続けるゆりの様子は音也と被るのですが、そんなゆりを、音也は好きになれないというのが面白い。
元のゆりを愛する音也は、次狼にイクサを譲るよう雨の中土下座をする。
ゆりを守る生き方からは、音也自身の充実の証明という意味合いも感じられるので、かっこつけの為なら頭も下げる男という印象も感じられます。
ゆりもまた一緒に土下座し、「母親の手を握る為」にイクサを譲り受けようとするが、
頼まれた次狼はその場で倒れてしまう。
大雨のせいで風邪を引いたのではなく、次狼はイクサの後遺症でダメージを受けていた。イクサが本当に完成したら、ゆりに託すが、それまでは自分が代わりにイクサを使うと約束する次狼は、ゆりのハートをゲット。
雨に濡れて土下座をした音也の立場がすごくかわいそうなことになっていますが、自分の代わりに傷つき、美味しい所は自分に託してくれるという次狼の生き方に感極まるのも無理はないか。