しがない感想置き場

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仮面ライダーキバ 第4話

 

 第4話「夢想・ワイルドブルー」

2008年

「嶋さんは言ったはずです。キバは人類にとって、最大の脅威になるかもしれないと」

「キバよりも私のライダーシステムの方が優れている」

キバの出現を悟った名護は、上司である嶋にキバに対する戦意を表明するも、嶋は現時点でのキバとの交戦を認めない。

 

カフェ・マル・ダムールに来店した名護は、音也のことで苦悩する渡から相談を受ける。

メンタルが弱った渡としては、耳の痛いことを言う恵よりも、理想の父親像を体現し、尚且つ優しそうな名護の方が話はしやすいと。

「お父さんが迷惑をかけた人たちの為に、何が出来るのかを考えなさい。」

渡にアドバイスをした名護は、偶然見かけた詐欺師を捕まえる。

詐欺師の名前に何かを感じた渡が父親の名前を出すと、詐欺師は己の過去について語りだす。

それは、紅音也のバイオリンの演奏(飲食店への支払い代わり!)に惚れ惚れし、コンサートの契約をとりつけたものの、当日になって約束を反故にされ、周囲の信用を失って破産したというもの。

 

「父さんのせいで、僕は」

信じていた父親に裏切られた渡は、被害者の身の回りの手伝いや補償の為(?)のアルバイトに励む日々を送り始める。

名護のアドバイスを受けて、被害者の為に尽くす渡の振る舞いですが、壊れた父親像を自分の手で修復し、世の中を渡る上での支えを取り戻そうとしているということでしょう。

ブラッディ・ローズに匹敵するバイオリンを作ることに人生の意味を見出す渡は、その人生を果たす上で、ルールとして他者との接触を通さなければいけない局面の存在を認め始めており、そこから目を逸らして生きていく自分を変えたいと考えているというのがこれまでの経緯でしたが、未だ無力な渡は、自分が寄りかかれる何かが欲しい。

それが、目標である名器ブラッディローズを作り上げた父親の人生そのものだったのですが、大勢の人々からダメ出しをされた結果、頼るべきものを失っている状態なわけで、紅渡が再度世の中に目を向けるには、そうしたボロクズ同然となった父親像を自分の手で再生させなければならない。

 

父親の罪を背負う渡を哀れむ恵だが、名護はそんな恵を嗜める。

「さぞ気持ちがいいでしょうね。」

「なんのことかな」

「知ってるわ。あなたは弱い者が必要なのよ。弱い者の面倒をみることで、自分が上に立てるからね。

「君は俺を分析している。何故か。分析することで俺より優位に立とうとしているからだ」

仲の悪い名護と恵だが、名護の方が「実力」は上か?

 

「父さん、会いたい。ねえ教えて父さん。本当はどんな人だったの?」

ブラッディローズを弾きながら、父親に想いを馳せる渡。そんな時、女弁護士がモスファンガイアの正体を現し、渡の努力を前に音也を許した被害者二人の命を奪う。

キバとなってモスファンガイアを追い詰めた渡は、その正体を知り、その口から音也が行った「たった一つの良いこと」を知る。

 

花の為にバイオリンを弾いていた

 

音也の演奏で花が咲き、それを見ていた女弁護士は彼を愛するも、音也から愛を受けることはなかった。

そのやりきれなさをぶつける為に渡に近づいたようですが、うーん(;'∀')

なんというか、憎たらしい奴をいたぶるよりも、憎たらしい奴の家族(それも気弱だったり善意があったり)を虐めた方がスカっとする的な心理状態だったのでしょうけど、普段ろくすっぽ交流のない赤の他人の不幸が、既に故人となった父親の好き勝手によるものだと言われても、それほど苦悩するとは思えないのですが(あくまでも渡のケースは特例なので)

被害者或いは、義憤にかられた第三者が紅家を日常的に非難または攻撃していたとかなら分かるのですが、被害者は紅家と距離をとって生活しているようですし、被害者以外で音也の「悪行」を知っている人もいない。加えて、破天荒な人間が家庭の中では常識人かと言うとそんなパターンの方が少ないと思うのが普通な為、息子が生前の父親と交流があったとしても、今更驚くネタにはならないでしょうし、色々踏まえると女弁護士の行動はその場の思い付き程度の代物で、22年という歳月を考えると陳腐(;^_^A

 

その後、なんだかんだで城ドラゴンの中にいた斬鬼さんのそっくりさんが変身したガルルセイバーを召喚してガルルフォームに変身し、モスファンガイアをぶっ倒す

なんだかんだとはひどい言い方ですが、「なんだかんだ」としか言いようがない位フォームチェンジに必然性が感じられないので(;^_^A

(意識が渡のものなのか、ガルルセイバーのものなのかもわからず。)

 

自宅に帰った渡は、ブラッディローズを弾きながら父親の優しさを感じ取る。

体を張って父親の罪と向き合った上で、父親が行った「良いこと」を知り、父親を知り、父親を許し、父親を信じることができる。

たった一つでも良いことをしたら被害者は許すと語っていたという前振りはあったのですが、渡自身が音也を許し、再び信じることが出来たのは、父親が出来なかった正しい生き方を自分が行ったことで、父親の中に存在した花=美しいものを大切にする気持ちから善意を見出すことが出来たからという流れになっているのが良いところ。

 

弱い自分を守る為に嘘や虚像に縋っても、それに頼り切るにも結局自分が真実と向き合うしかないという、厳しいお話なのかなと。

 

1986年

ナンパした女弁護士を振り、麻生ゆりに声をかける音也は中々に非道。

ゆりからその破天荒っぷりを報告された嶋も、仲間に引き入れる考えを打ち消す。

一方で、人知れず(ばっちり見られてるけど)花の為に音楽を奏でるロマンチスト的側面を見せる。

女弁護士から見た音也像が核になっているため、今一つ彼の内面に踏み切れていない所があるのですが、その日その日を享楽的且つ無責任全開で生きる姿と、バイオリン奏者を辞めた過去と繋いで考えると、寂しいヤツという印象が強いところですが。