しがない感想置き場

特撮番組とかアニメなどの感想を投稿します。

鳥人戦隊ジェットマン 第44話・第45話

「ドンブラ」も始まったし、そろそろ書き上げないとまずいと思います。

 

第44話「魔神ロボ!ベロニカ」

 

▼ベロニカ

所謂巨大ロボット的なイメージとはかけ離れた外見ですが、動力源を明示することでちゃんとロボットであることを印象付けているのが巧いですね。加えてそれが「人間の生命力」ということで、開発したトランザ(バイラム)の非道さも伝わり、且つ雷太達も動力源として浚われることでヒーロー達のピンチも効果的に演出できるということで、一粒で二度三度美味しいところです。どこかの魔窟みたいな機内や、グリナム兵の腕みたいな拘束具という演出も、メカニカルなグレートイカロスのそれと対比され、悪役ロボとしての個性を強めています。

シンプルながらも気の利いた描写と演出の積み重ねで、ストーリーもキャラもぐんと締まる好例だと思います。

 

▼バカップル崩壊前夜

基地で会っても気まずそうで「うまくいっていない」ことを自覚し始める凱と香。やっぱり育ちっていうのは大事ですね。

若干こじつけめいてますが、女友達を侍らせて海パン一丁でのびのび泳ぐ姿は、彼が求める「自由=自分らしさ」をストレートに感じさせます。

 

▼イキりたいさかり

トランザからベロニカの操縦桿を奪ってジェットマンにとどめを刺そうとするラディゲ様。

自分を負かした男が、宿敵まで倒してしまうかもしれないという屈辱からの突発的な行動とはいえ、操縦者の交代を迫っただけで作戦自体をおじゃんにしようとしたわけではないという、ラディゲ様本来のチキンハートが行動にブレーキをかける形となり、大事な所で俺が俺がと操縦桿を奪い合うラディゲとトランザのセコい諍いが、バイラムという組織のどうしようもなさを表しています。

 

 

第45話「勝利のホットミルク」

 

▼対比の物語

体を張ってグレイカのエネルギーチューブを接続し、ロボの不調を必死でカバーする凱に対し、同僚の作戦をぶち壊すラディゲ等、紆余曲折を経て絆を育んでいったヒーローと、当たり前のように殺し合う仲に変わっていった悪の組織の皆さんの対比が鮮やかでした。

こういうのは描写それ自体はけして難しくはないにしても、ドラマの積み重ねが無いと物語としてはけして映えないのですが、本作のようにそれぞれの登場人物の性格や価値観を描いていったことで、筋を通した展開として上手く伝わりました。

本作何も特段特別な話の展開を見せる訳ではなく、流れ自体は割とよくあるものだと思うのですが、その「よくある話」を物語独自の言葉で紡いでいけたことが素晴らしいのだと思います。

 

▼結城凱とは

41・42話で我侭で身勝手な男の一面を出してきた凱ですが、竜と共に仲間を助ける為、地球を守るために体を張って戦う様はかっこいいの一言です。

第41話、第42話で凱の嫌な部分を見せ、第43話でそんな凱と香との間に横たわる溝を明確に見せつける。その上で、自分を変えるきっかけを与えてくれた親友と共に、囚われた仲間を救うべく戦場に飛び込み、漢同士の「約束」を交わした上で、自らの役割を最後まで全うする。最終的には香も含めた「仲間達」を救い出し、彼らに向かって心からの笑顔を見せ、漢二人で勝利の祝杯を挙げる。

4話かけてこれまで紡いできた結城凱という人間のあり様を更に掘り下げ、改めて「結城凱とは何者か」というのを視聴者に提示。若干贔屓めいたものは感じますが、こうした描写の強度故に、今尚鮮烈な印象を残すキャラクターとして語られているのではないでしょうか。

 

▼生き汚い人

ベロニカ(トランザ)の凄味を前に、突発的な暴挙に出たラディゲ様ですが、トドメはさせない、加えてお仕置きを受けるというあんまりすぎる状況が、彼の負けじ魂に火を付けた様子。

ロボの機能を停止させて、動揺したトランザを不意打ちするという、どの角度から見ても情けない謀反計画ですが、それ故にラディゲ様らしいやり口が素敵すぎます。

一方で雷太達を生かして帰してみたりと、宿敵を自分の手で倒さねばならぬという執念は、潔さ以上に狂気的なものを感じさせます。取りつかれたように勝利を求め続けるラディゲ様が、蓄えた人間の生命エネルギーを全てかっさらっていくというのは、倒れても立ち上がり、ジューザや魔人といった並みいるライバル達を(他人の助力も込みで)攻略していったラディゲ様だからこそだと思います。

 

▼バスターじゃねえんだよ!お前がタマになるんだよ!

そういって(ないです)、バードメーザーに乗せられて、自ら弾丸としてベロニカに特攻したテトラボーイこれで壊れないとか頑丈すぎるだろ。

一応テトラバスターとしてグレートイカロスとの合体も可能という、玩具のギミックは一切無視ですが、相応に活躍の場を与えられている機体なだけに当時の品薄伝説は伊達じゃありません。玩具の出来も良かったしね。