しがない感想置き場

特撮番組とかアニメなどの感想を投稿します。

「水星の魔女」を観た①

巷でそこそこ話題の「機動戦士ガンダム 水星の魔女」のPROLOGUEと第1話を観ました。

 

まず初めに、いきなり脱線する様でアレですが、私は脚本家・井上敏樹のファンもとい信者です。

氏がメインライター、シリ―ズ構成を務めた作品は基本的に大好きですし、漫画原作や小説の執筆等の仕事についても、発表直後に確認し、その内容を相応に評価をしてきました。旧2ちゃんの「せいにする」スレなんかもゲラゲラ笑いながら読んでましたし、作品の関連商品についても、人に笑われない程度のモノ(どんな程度だよ)は購入してきたんじゃないかと思います。

とりわけ小説版「超時空世紀オーガスについては、これまで何度読み返したか分かりませんが、その度に「TV版の一億倍面白い」と感嘆し、単なるメディアミックスの相違とか以前に、根本的な作家性の違いを意識し、敬意を抱いてきたものでした。(どういう経緯であのノベライズが成立したか知らんけど。)

 

そんな私なので、機動戦士ガンダム 水星の魔女」を観たなんて日には、井上氏が脚本を担当するガンダムシリーズの漫画企画「機動絶記ガンダムSEQUEL」の方が千倍面白いなんて、観も蓋も無い感想を平気で書き連ねるんだろうなと想像し、我ながらその信者脳っぷりにドン引きしていたのですが、いざ実際に視聴して観ると、その退屈極まりない内容にあくびが何度も出るだけならまだしも、魂までが体から抜け出そうになり、延命の為にもと溜まっていた用事を片付ける片手間での視聴にシフトし始めるなど、とどのつまり「SEQUELの方が一万倍面白かった」という地獄のような印象に至ってしまいました。正直でごめんねッ(^_-)-☆

 

PROLOGUEも第1話も、終始「GUN道がGUN道が」と連呼するだけで、パッと見じゃ何が起きているか分からず、かといって、同じく分かり辛いと言われた「Gレコ」のように、キャラの生き生きとした所作や台詞回しで場を繋ぐなんて芸当も無いので、こちらから理解を深める為にあれこれ考えようと言う気持ちにもなりません。登場人物もそれっぽいことをダラダラ言い連ねているだけで、MSのパイロットの安全性どうとか、戦争による命の奪い合いがどうとか以前に、視聴者の安全と命の方を気遣ってくれという感想しか出てきませんでした。まともだったのは、お父さんによる娘の誕生祝いシーン位かな…。

最後のガンダム否定云々も、直近の「シークエル」による「ガンダム溶鉱炉に落としてみた!」なんてのがあっただけ、インパクトも糞も無かったですしね。

 

それでも、このPROLOGUEはまだマシとして、第1話については所設定や展開を少女革命ウテナからひったくってきたような、既視感バリバリの要素で塗り固められてるだけで、登場人物が魅力的とか、世界観が面白いとか、メカがかっこよくて濡れるとか、そんなものは一切ありませんでした。

主役のたぬきちゃんも、「逃げたら一個しか得られないけど、逃げなかったら二個以上もらえるよ」みたいな精神論を展開する割に、きつねみたいな女の子の菜園を荒らす御曹司君の蛮行を見ながらおろおろするだけで、きつねみたいな女の子も他人のMSをパクって勝手したりと、平淡な展開の上で登場人物のヘンテコ要素だけが悪目立ちするという、何も言えねえ描写の連続がきついなと思いました。

随所にこびりつく「ウテナ」っぽさについても、あっちは意味不明な設定を、こってこてのシュール演出で「意味不明で良いんだよこんなん!」と納得させるだけのパワーがありましたし、そもそも主役のウテナからして、平素から強気なキャラは一貫しており、友人を傷つけ他人を花嫁呼ばわりして暴力をふるう頭のおかしい学園カースト上位の先輩に対して終始毅然とした態度で挑んでいたという格好良さがあったからこそ、ヘンテコ設定ヘンテコ演出に対してキャラのスタンスや魅力が分かりやすかった分、話の導入として入り込みやすかったというのがあったと思います。そういう魅せ方の工夫が欠けていただけ、作り手が「これでウテナっぽいと言われてSNSで話題になるぞお」とwktkしてるだけにしか見えませんでしたし、リコリコロスで野に放たれたクッソ汚い百合犬をとっ捕まえて狂犬病予防のお注射が出来る作品とも思えなかったです。あっちみたいに華のあるビジュアルでもないしね。

 

ガンダムがめちゃんこ強かったのは良かったのですが、肝心の殺陣が短すぎるのと、戦うまでの流れが上のようなヘンテコ要素の上で成り立っているので、勘違いしたドアホ先輩をボロ雑巾にしてやったぜ!というカタルシスよりも、流れ作業的に話を進めただけと言うノルマ意識しか見いだせず、一山いくらの「俺TUEEEE!」と大して変わりませんでした。

上に挙げた「SEQUEL」の場合、登場人物のぶっ飛んだ行動や能力や矜持や目的意識を見せることに終始し、MSの活躍シーンが殆どというか全く無いという珍現象が生じてますが、出番こそ少ないものの、「ガンダムという物凄く強いMSがありました」「だから溶鉱炉で溶かします」「ガンダムコクピットの中で母親が〇〇になりました」「妻は夫よりもガンダムを選びました」みたいな、大小入り混じったガンダム神話を随所にばら撒いて存在感を定着させるので「そんなにヤヴァいのかガンダム」という戦慄と期待感を読み手に与えているだけ良心的に思えてきます。

 

こんな感じなので、早くもこの作品を「水魔」ならぬ「睡魔」と略したくなる気持ちで一杯になりましたが、早くこの退屈地獄から脱却できるといいですね。

 

ちなみに、たぬきちゃんは可愛いと言えば可愛いけど、やっぱり僕はカオリスのようなムチムチ美女の方がオンナらしくて好きだなあと思いましたまる(フェミに殴られそうな締め方)