しがない感想置き場

特撮番組とかアニメなどの感想を投稿します。

「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」ドン13話

ドン13話「さよならタロウ」

 

「ごめんねジロウ」みたいなタイトルで笑ったけど、次回のタイトルで更に笑った。

 

タロウによる戦隊メンバーの人物評。殺人雉野は「自信の無さ」を指摘されました。雉野については、悪い人間として思われているのではなく、心の弱さが仇になっているので直せってことなんだろうね。はるかから呼び捨てにされているのを見ると、「ミスばかりするダメ人間」って立ち位置で、やっぱり負の部分は見えてない感じかな。

 

タロウとソノイはお互いの正体を知る羽目に。何十話もかけた「アギト」の翔一くんと氷川さん、「555」の巧と木場の正体ばれと比べると、あっさり目な印象が否めないけど、タロウ的には高い志と身体を張って人々を救うソノイの人格はそれまで出会ったか弱い人々とは一線を画してたし、ソノイの方もタロウの馬鹿正直さを善と捉えたからこそ、二人は惹かれ合ったというのは描かれてはいたからな。

ソノイにとってはタロウの馬鹿正直さが治安の悪いドンブラワールドにおける唯一の輝きだったのに、タロウはそんなドンブラワールドのヒャッハー共と脳人達を共存させようとしたお花畑の末裔で、彼自身もDQN共を守ってるなんて知ったらがっくりくるよね。DQNが跳梁跋扈する世界における希望の存在が、ただのお花畑野郎だったなんていうのは、希望が絶望に反転する理由としては頷けるものがあります。

 

タロウは嘘がつけなくて、聞かれたことにはなんでも答えてしまう性質から、ソノイから弱点聞かれて素直に答え、不意打ちを食らって命を落とす羽目に。まあ、ドンオニタイジン合体後の疲労感っていうのはちょっと唐突だし、余裕で忘れ去られているドンゼンカイオー君涙目状態なのもどうかとは思うのですが、聞かれたことには正直に答えてしまう癖は抜けないようですね。

一応前回の様に自分から真実を隠そうとしたり、今回の様に猿原達をほめようと自分から嘘をつこうとしたりと、かつての「嘘の意味が分からないので嘘はつきません」路線から、少なからず嘘の意味合いを前向きなものとして捉えようとし、実践しようという姿勢の変化が垣間見えます。

ただ、その美しい嘘を教えてくれたソノイが、「ダメな人間はいない」と唱えるタロウの考えに反するように積極的に殺人を行う宿敵その人だったということを知って、「嘘」に対する嫌悪感が増してしまったようにさえ思えます。嘘の肯定的な側面を教えてくれた存在が、自分とは相容れないものだったということで、ソノイとの美しい思い出も約束も、全部ご破算というのは、タロウとしては少なからずショックだったでしょうし、ソノイの言う「嘘の美しさ」を信じて生きていこうなんて思える訳もないですしね。そんな退化を見せたタロウに、「アホかお前、極端すぎるんじゃボケ」と言わんばかりのソノイカットが炸裂するという再教育展開は確かに皮肉が効いており、果たしてタロウは戻ってくるのか。戻ってきたらどんな奴になっているのか。

※追記

ああそうか。ソノイとタロウの関係って、月の光と同じで「隠された真実」の上で成り立っていたものだったんだよな。そうなると、真実を隠す美しさを知ったタロウが、隠れていた真実が明らかになったことで生じたショックから、真実を隠すことに意味を見出せなくなってしまったから、躊躇なく不都合な真実をカミングアウトするって流れになるのか。

 

嘘が付けないタロウを何とかする為に戦いをボイコットする猿原。体質的な問題なので、謙虚さの学習は余り関係はないとは思いますが、元々傲岸不遜で、相手に対して歯に衣着せぬ物言いで接するのが当然と思っているその態度が、嘘をつくことへの抵抗に少なからず繋がっていると分析するのも仕方ないといえば仕方がないか。まあ、嘘をついたら死ぬなんて体質自体、不条理にもほどがあるので、正しい治し方なんて知るかって話ですしね。

いずれにせよ、彼なりにタロウの危うさを心配しているということなのでしょう。(褒めてもらえなかったと言う苛立ちはあるでしょうけど。)言い出しっぺの彼が我さきにと変身したりなど、非情さに徹しきれない部分もあったのは良かったです。

はるかも雉野も「タロウの為」という猿原の言葉に絆されながらも、猿原達と共に心配して彼の戦いを確認しに行き、猿原に合わせてなんだかんだ変身しちゃう所は井上さんらしい描き方。

 

ゲストのクレーマーおばはんは放置。この辺は流石に雑かなあ。なまじクレーマーになった背景を愚痴として視聴者に説明してただけにね。30分前の番組と違ってわきのわき役にも配慮しようという心がけは良いのですけど、顛末が描かれないので消化不良感が際立ちますね。

ただ、このクレーマーおばさんを筆頭に、おばさんに帰れコールをするおばさんズ、ひったくり犯等、狂気と悪意に満ちた人間達の奇態を改めて描いたことで、彼らに味方するドンモモタロウの正体を知ったソノイの絶望に感情移入させる作りになっているのは、やっぱりプロの技だと思います。

 

今日の犬塚君は呑気に美容院通い。アホだなあ。彼は人は良いんでしょうけど、恐ろしく頭が悪い人として見た方が良い感じですね。頭が悪い故にちゃんとおいたを食らってる感がありますし、某クルパーライダーみたいに押しつけがましくも無いし、方向性としてはそんなに嫌いじゃない。