しがない感想置き場

特撮番組とかアニメなどの感想を投稿します。

仮面ライダーギーツ 第1話

あの「リバイス」よりも壊れた作品になりそうという私の不吉な予想を的中させるように、只管眠気ばかりが襲ってくる強烈無比につまらない第1話でした。「ドンブラ」が目覚ましなら、「ギーツ」は子守歌ですね。

 

好みと言えばそれまでですが、自他による論評と、本人の言動が殆ど噛み合わない人物描写はとにかくアカンです。「人の役に立ちたい」「可哀相な動物の為に募金をした」と奉仕キャラっぷりを台詞でゴリ押す一方で、「遊んで暮らしたい」という本音をポロリと漏らし、その後も上述の個性を補強するような描写は一切描かれない就活生君とか良い例だと思います。アホ丸出し且つやたら攻撃的なリアクションも含めて、今作の永夢・或人ポジはこいつなんだなと嫌な汗をかかせてくれる人だったと思います。正体不明の怪物が街を蹂躙する一方で、呼応するように正体不明の怪物ハンターが現れ応戦するという状況下なのに、一方的に「世界は滅びる」と絶望する様も、個人の感性ゆえの反応というよりは話の都合でそういう態度をとっているとしか思えなかったしね。

お姉さん役の人の妹さんが演じている鬼頭はるかは、まず漫画家として自分のエゴや名声を満たしたいという私欲塗れの性質を強調した上で、理不尽に翻弄される他人の苦しみを前にそれを背負いこもうとする気概(それは彼女の危うさでもある)を発揮して見せたことで、自分が好きだからこそ我欲と誇りの両方を取ろうとするし、その為に危険に陥ることが多々あるというキャラクターが成立していますが、就活生君の場合はまず「世界平和」とか「人の役に立ちたい」という奉仕精神だけが前面に出され、且つその為の具体的な道筋を持っておらず、でもって遊んで生きていきたいというエゴも見せてくるので、キャラクターを整理するのにこっちが手一杯で、最終的に何がしたいのか分からない人格迷子な人という感じで、今からがとっても不安です。

 

配信者の人も、「セレブなのに庶民派に成ろうとするところが可愛い」という姉評に対して、後はひたすら怪人から逃げ回っているだけで、何処が可愛いのか全く分かりませんでした。(役者さんは美人だと思いますが・・。)

金持ちが庶民になろうとするなんて、普通に考えたらイヤミでしかない行動を、姉の言うように如何にチャーミングな行動として描くかが肝だと思うのですが、そういう配慮がまるで無いのは如何にもだなあと。

 

他のライダーとはちょっと違うぜ的主人公ギーツの活躍も、ライダーの中では最初から彼ばかりがダラダラとクローズアップされるので、彼が活躍するという後半の展開が全く盛り上がりません。

「ドンブラ」の第1話でのタロウの活躍が映えたのは、他の戦士がへっぽこ且つ、はるかが憧れたソノイの本性が描かれた上で、事態を好転させる為に現れた正体不明の戦士という立ち位置だけではなく、その前にタロウの人間性を奇行も込みで見せた上で、彼の名前をキーワードとして話を回したことで、その時点で正体不明の戦士であるドンモモタロウとの接点を紡ぐことで、謎の新戦士のインパクトを補強していたと思うのですが、ギーツの場合は、ダラダラと変身を引き延ばす彼の打算的な振る舞いで以て描かれたこともあり、ヒーローの頼もしさよりも、ある種のこざかしさだけが募っているような感じで、どうにも安っぽさが付きまといます。

 

シリアスな雰囲気を出そうとする割に、頭数ばかり多くてキャラが薄い登場人物が、ダラダラと会話をしたり逃走中したりするだけのカオスな内容で、どことなく仮面ライダー剣」の第1話を思い出してしまいました。

「剣」の場合は「クウガ」~「555」の後ということもあり、作品ごとの好き嫌いこそあれ、一定水準のレベルを保っていたシナリオが突然どん底に叩き落とされたような落差の激しさも込みで、ある種の個性として今尚語り継がれている訳ですが、今作はあの「リバイス」の後なので、レベルがちょっと落ちたかな程度の印象なのがおつらい所。「アギト」を思い起こさせる佐橋サウンドと、ギーツのガンカタがかっこよかった位かなあ。ヤンマーニ流したら合いそうだよね。