しがない感想置き場

特撮番組とかアニメなどの感想を投稿します。

暴太郎戦隊ドンブラザーズVSゼンカイジャー

Vシネ公開前に登場人物振り返り記事を書き終わるつもりが、全然間に合わなかった。我がことながらクッソ情けない。

 

「ゼンカイジャー」

懐かしいなあと思いつつ、アウェイ感が凄まじかったです。途中で視聴を打ち切ったが故に内容に対して踏み込んだことが言えないというのもあるけど、やっぱりギャグセンが自分的にイマイチなんだよなあ。ジェットマンネタは爆笑した覚えがあるけど。

柏餅ネタとか、本作とタイアップした追分だんご本舗さんに長蛇の列が出来ていたことから察するに、大多数の観客からは支持されたんだろうけど、自分としては出来損ないの不思議コメディを見せられているような疲労感が生じて大変でした。香村さんだけのセンスではないとは思うけど、この人もどっちかというと暗くさせてなんぼみたいに思ってる節があるからなあ。

 

お話自体も、民衆の心を掴む件とか不要に思えて、結局ゾックスやワルドとタイマン張るなら直接乗り込むでも良かったんじゃないかなと、終始ノれない感じ。並行世界の人達との協力で窮地を脱するという発想は良いと思うけど、彼らの貢献度がそこまで高くないようにも思えて、ちょっと残念な扱いだったなと。

 

まあ、最終回後の後日談としては微笑ましい内容だったとは思うので、ファンとしては溜まらんものがあったかもわかりませんね。いや、全話観ていない自分がこういうこと言って良いのか疑問なんだけど・・・。

 

「ドンブラザーズ」

本命。勝手知ったる実家のような居心地で観ました。

「キングオージャー」の感想記事で持て囃したり続編待望ムーブをかましている手前こんな事を書くのもなんですが、最終回がピークという印象は正直否定できないなと。

タロウも戻って来たしソノイがあんなことになったりと、良くも悪くもかなり変動はあるんだけど、TV本編(と夏映画)で行動指針が示され、旨味もしっかり出た登場人物に、更に次の目標を追加している感じで、今更「これが本当の最終回!」って言われているような気もして、本作自体はそんなに面白くは無いというのが正直な感想だったり。

それでも展開自体は、破天荒に見えてそれ相応に納得がいく代物でしたし、ゲストの使い方や対比と共通項の演出の仕方など、技巧の部分で唸らせる部分もあったりと、考えさせる内容であるのは確かで、そういう意味では久しぶりに見応えがあったのも確かな訳です。

 

一方的且つ大量膨大の承認と金でぐじゅぐじゅに漬けられ骨抜きにされた人間ドンブラザーズ4名が、張り合いを亡くした己が人生の虚無と向き合いたくないが為に、全ての責任をドンブラザーズの「使命」に擦り付け、戦士を引退しようという内容。何者でも無いが故に幸せの価値を尊び、また己が人生を諦めきれずに立ち上がろうとする強みを見せてきた彼らが、成ってしまったが故に生きる力を失ってしまったという感じで、あの最終回からこの流れは中々ハードに映ります。

 

最も、ドン22話で「全てを手に入れるということは、何も持っていないのと同じだ」と断言した豪田さんの存在をジロウの口から仄めかすことで、はるか達の変化に作品のテーマ的に説得力を与えてきているのは確かで、他方、手に入れていないからこそ激しく生き、何度でもヒトツ鬼になり、遂には王様鬼以上の力を持った存在へと進化を遂げた活力満点の忍者おじさんを対比させるというのは巧い作り方だと思いました。豪田さんと忍者おじさんは、「ドンブラ」を語る上では外せないね。

 

ドンブラザーズとプライベートの両立は不可能と言いながら、はるかは漫画をアシスタントに描かせて豪遊三昧、雉野は単に部下(部長)をいびり返して悦に浸っているだけでと、両立できそうにしか見えないのもポイントで、結局彼女達は目に見えて増大した大勢の他者から承認と己の地位がもたらす多幸が人生においてデフォルトと化したせいで、その有難みにも気付けず、さりとて今の人生を否定したら、豪田と同じように虚無感を覚える事必定なので、義務として与えられたドンブラザーズにこそ、自分の満たされなさの原因があると八つ当たりするしかない状態ということでしょう。写真家の夢を失った真理菜の痛みに何かを感じ、漫画家として認められ始めてこれからと言う時に、成功から遠ざかりドンブラザーズに戻ったはるかが、自らが引き受けた使命を投げ出す道を選ぶのも、望むもの全てを手に入れたから、幸せの意味を忘れ、それを失う人々の痛みにも気付けなくなってしまったということなのでしょうし。

一方で、タロウの歓迎会に敢えて出席しなかったりと、心の何処かでは自分達が「つまらない人間(タロウの豪田評でもある)」であることを認めており、「ドンブラザーズ」を否定することへの後ろめたさから、本来なら喜ばしいはずの再会も、大切な人との誓いを破ってしまった自分にとっては痛ましさしかないというのも皮肉が効いていました。

 

タロウの死を受けて、自分達の過ちに気が付き、「得意な物」と一緒に輝かしく生きてきた過去を懐かしむのも理解できる部分で、ドンブラザーズ本編が、殆どすっぽんぽんだけど、パンツだけはオンリーワンの柄物を履いた人達の人生進撃ストーリーなら、本作は一張羅の着心地に痺れてパンツの存在を忘れ、その一張羅すら裸同然の何の面白味も無い服に映ってしまった彼らが、オンリーワンを取り戻して着ていた服を脱ぎ捨て、パンツ一丁で更なる服探しの道に突き進もうとするお話(喩がゴミでごめんなさい)で、辿り着いてしまったが故の心の弱さの露呈に呼応するように、神としてのタロウが再度必要になったというのは、本編最終回で感動を覚えた自分としては複雑だけど、確かに筋は通っているし、一度限界を見てしまった「幸せ」に、再度挑戦しようとするお供の気概に触れたからこそ、タロウにとっては「かつてのドンブラザーズ」への復帰ではなく、「新生ドンブラザーズ」への加入という認識となり、だからこそ「縁の結び直し」という形で仕切り直されるオチに繋がっていくということなのでしょう。

 

機界鬼に手も足も出ずやられるタロウ。ちょっと残念ではあったけど、神というのは万能故に朧気ということで、お供の存在がなければドンモモタロウとしての神力は発揮できないということなんですかね。一応5人そろったらいきなり強くなったのも、そういう理屈だと思いたい!

 

ソノイはどうなったのかなあ。ヒトツ鬼消しのケジメとか、引き延ばした死の期限が来たのかなと思ったけど、同じくやらかし組のソノニがぴんぴんしている以上、その理由では却って中途半端に映るしなあ。

タロウを助けたのは単なる自己犠牲というよりも、彼の清廉潔白のポリシーとタロウに対する友愛めいた感情からなんだろうな。人生を大きく変えてくれた、良くも悪くも縁の深い人なだけに、その死に対して無頓着でいられるわけがないし、オンリーワンの自分として後悔しない為に、「最善」の選択をしたというのは分かる。

ただ、一方で彼には「自分のおでんでお客に笑顔になってもらう」という生き甲斐があって、その姿にタロウも共感し、彼のおでんに感動を覚えていた訳で、そんな彼の夢がここで潰えてしまうというのは、「得意な物」を大事にしようという本作の路線とは噛み合わない気もするんだよな。

このまま彼の物語が終幕を迎えるのは寂しいので、どんな形にせよ次のVSで回収して欲しいポイントです。てか汁。

 

夏美の尻に敷かれている様子の雉野。みほの様に全肯定してくれる存在でもなさそうだし、雉野としては我の強い彼女とのペアは案外相性がいいのかもしれない。

夏美については最終回でも雉野を自分の欲望の為に利用しようという魂胆が感じられてあんまり好きじゃないんだけど、結局みほのようにはなれてなさそうだし、中途半端な人間って感じだなあ。その中途半端さが同じく中途半端な雉野とマッチしているから、負い目を感じたり一方的に甘えたりすることもないということで、そこそこに落ち着いている感じでしょう。

 

ジロウは結局立ち直れていなかった様子。新しい人格と統合するという事実に希望を見出して逃げていただけで、実際はルミちゃんのことを振り切れていなかったということみたいですね。まあ、本編のあの流れで「成長しました!」と言われても・・・という感じではあるので、幾分かマシといえばマシなのかもしれない。タロウに対する対抗意識というよりは、邪魔者排除みたいな態度なのも、心の弱さの表れなのかもしれない。多分。

 

全否定する気は無いんだけど、やっぱり最終回がジェットマンのそれに次いで好きな自分としては、理解は出来るけど最終回までの道程が「過程」として扱われている感が否めなくて微妙な所なんだよな。

現行の戦隊がつまらryのと、ソノイがああいう流れになっただけに「またドンブラを観たい(気になる)」という気持ちになるのは偽らざる本心なんだけど、現実問題としてテンション爆上がりな続編を作るというのも難しい訳だしなあ。懐かしいのは確かだけど、一ファンとして複雑な気持ちを抱えるのも確かな訳で。

ゼンカイのように「無難な懐かしさ」を感じさせる位が丁度良いんだろうけど、それだけなら態々作る意味も無い気もしちゃうし。

とりあえず、まずは登場人物記事の続きから書くかね。

 

「VS」

鳥「混ぜるな危険!」→ぼくたち「そんなに混ざっていないですよ」と、良くも悪くも申し訳程度にちょっと共闘させた感じ。共闘に至る流れもあって無いようなものですが、もう何も言うまい。

マスターの正体はようわからんし、ドンゼンカイオーの片割れジュランについても言及は無し。こういう所も凄く平常運転だけど、ジュランについてはちょっと期待しちゃったんだよな。←何も学ばないバカ

一番残念だったのは、ドンブラザーズの名乗りに攻撃力が生じなかった所かな。そういう意味でも最終回を観た後に観るとなんとも言えん気持ちになる映画だなあ。