しがない感想置き場

特撮番組とかアニメなどの感想を投稿します。

仮面ライダーアギト 第9話

・Y・恩を仇で返す男

急成長した人造人間を目の当たりにした涼は、恐怖心に駆られるままギルスとなり、人造青年に必殺かかと落としを見舞う。お手々を治してくれたのにあんまりだ(笑)

老化した手を治す能力やら、不自然な成長っぷり等、人外であることは明白なのですが、見てくれは人間なので、仮面ライダーが人間相手に必殺技をかますという絵面は結構衝撃的です。

パッと見ただの美青年なので、涼も涼で何故あんなに怯えたのかが不思議な様子。一歩間違ったら手が後ろに回っていたかもしれないしね。

 

・Y・落差

自分の記憶を知る女性が現れ、動揺する翔一。ついさっきまで「毎日記憶喪失になりたい」と世迷言を口走っていたのが、料理もろくに作らず、畑で座り込んで落ち込んでいたかと思ったら、相手の女性と会えなかったことでいつもの調子を取り戻し、積極的に夕食の買い出しに行く有様。

物腰の柔らかい線の細い好青年タイプということで、前作の五代君とイメージが被る翔一ですが、五代が誰に対しても笑顔で接していたのに対し、翔一は笑顔の時と落ち込む時とで、周囲への応対等に大きな差があるのがなんとも不安定な所。

表向きこそ、基本器用で終始笑顔を絶やさない屈託0の世渡り上手のお気楽青年というイメージですが、その実自分や社会の負の部分と向き合いたくない余り、楽観論に逃避している節が強く、都合の悪い物事を突き付けられると途端に崩れてしまうというギャップの著しいキャラクター性は、シリーズの後発の作品群を見渡しても極めて異色かと思われます。

井上作品の枠だと「シャンゼリオン」の暁も似たような性質の人間でしたが、あっちはその弱さや甘さをある程度開き直ってもヒーローとして立ち回れる世界として意図的に描いていましたが(そういったある種の傲慢さに対して、最終回での、非情な現実に不屈の心で立ち向かう夢の中の暁の登場が、最後の最後で待ったをかけた感じ)、翔一は暁程にぶっ壊れた振る舞いを見せるわけでもなく、むしろ実生活の面ではかなり巧く立ち回っているだけに、同じような顛末を迎えるとは考えにくい所。

そんなふんわかイってる翔一の過去を知る黒岩元東京国皇帝の秘書によく似た女性は、何かに怯えた挙句何者かによって殺され、その容疑者として翔一が浮上して逮捕され、先週父親の一件で翔一のことを信じることを決意した真魚ちゃんは当然焦り、その裏で北條G3が少年を襲った悪い怪人を処刑用BGMと共に華麗に葬り去るけど、死に方が今までのとビミョーに違うのでなんか違和感という一連の展開が、リズミカルに進む面白さ。メインヒーローが全く出てこなかったけど(笑)

 

・Y・天才小沢

ゆすりの結果か、氷川の代わりにG3装着員として任命された北條さんは、タコのアンノウンを倒すなど大活躍。まあ、一体だけなら氷川君も亀を倒しているんですけどね。

G3の扱いが巧いということで、尾室君からの印象は良いようですが、小沢さん的には「かわいくない」ということで氷川の方がよろしい様子。

そんな上司のマイペースに「こいつやる気あんのか」と呆れる尾室君ですが、北條曰く、常人を超えた知能指数を誇る天才ということで、小沢さん的にはふざけている気は無く、純粋に「勝敗を決するのは使用者の力量ではなく、自分が作ったシステムの優位性である」と思い込んでいるのでしょう。

実際、アギトとの共闘による成果も否定できないとはいえ、当初と比べればアンノウン相手にまともに戦えるようになってきているので、北條の横やりが無ければ氷川が追い落とされる理由も無かったわけで、設計者としての小沢さんのスキルの高さ故に許される発言として成立しているのは良い所。

 

・Y・かわいくない男

G3装着員になるやいなや、「アギトを捕獲する」と大口をたたく北條さん。

よっぽどG3や氷川にコンプレックスがあったんでしょうね。俺はお前らとは違うんだと言いたいが為に、氷川がひーひー言いながら戦ったアンノウンを超えた力量を持つアギトを、一足飛びに仮想敵に据えるというのは、思い込みが激しい(河野さん談)彼らしい言動だと思います。

少年を抱えた怪人に躊躇なく発砲する様は、自分に酔っている感が凄いです。警察官として他者を守る為に命を張ることは出来るし、それはそれで当然称賛されるべきではあるのですが、一方でそんなヒロイックな自分を他ならぬ自分自身が誰よりも愛しているので、劇的な演出と成果にこだわってしまうという、ナルシズムがじわじわ伝わります。